―― 少し前・広間にて ――
ええ、知ってました。
[よろしく、は勿論自分に投げかけられたわけではないのは承知でした>>97]
君は、知らなかったようでしたし
必要とも思いませんでしたので。
[知っていた、といったのは彼の名前のことです。
彼が非番の日だったか、たまたまその場所に居なかった日だか。そんな時に訪ねたのです、こう言った特徴の彼は今日は居ないのですかと。そうした際に、ああラルフかと同僚らしき人が教えてくれました。とはいえ一方的に知っているというのもなんとなく居心地が悪いし、呼び名にこまることがなかったので、今日まで君、で通してしまったのです。]
ええ結構です。今更名前を呼ばれても反応できるか自信がありません。
それに、私はお兄さんという見た目ではありませんから。
[彼がそう言うならきっとこれが丁度よいのでしょう。
本音も少し零した気がしますが、気にするようなことではありませんでしょう。]
(106) 2016/10/09(Sun) 23時頃