[彼の笑み>>96を見れば、此方も口の端を上げる。実際の所、破って捨ててしまったのは確かに早計だったのだろう。
ただ他に苛立ちをぶつける場所が見付からなかったものだから、仕方のない事。
どうせ知り合いの女の元にも届いたのだろうし、どうしても必要なら彼女を頼れば良いというのもあった]
……やはり、手掛かりらしい手掛かりはありませんか。
学のある者がこんな馬鹿げた真似をするかというと、また微妙な処ですがね。
[そう答える途中、聞こえてきた呟きには僅かに興味を引かれる。それでも、それを口にする事は無く、ただ微笑む彼を見た。
――こんな眉唾ものの存在に縋る程、彼は欲しい物があるのだろうか。
だとしたら、薬師とは正反対の価値観を持っているらしい。薬師は、欲しい物は自分で手に入れる主義だから。……まあそれも、持つ者の傲慢というやつかもしれないが]
(98) 2015/01/23(Fri) 14時頃