[ がっしりと揺籃を捕まえたまま──そもそも彼女が避けていれば、手はすっかり引っ込んでいただろうが。]
今は、ニコラスさんが信頼に足るお人か、力を合わせはってくれそうか、聞いとるところだったんどす。
[ 気を取り直して、揺籃を間に入れつつニコラスと話を続ける。]
ええと、それで『“鬼”も気によらない?』とは何どすか?
“鬼”にも悪ない“鬼”がおると? そりゃあ、使役されとる“鬼”は悪さもようできへんと思いますけんどなあ。
[ ニコラスの言いたいこととは、きっと少し外れた返答が返ってきただろう。
じっと見つられると、少し照れくさくなって、えへへと誤魔化し笑いしながら、続くニコラスの言葉を聞いた。]
調べてはるんなら、うちと同じどす。
出遅れちゃったゆうのは、どなたさんよりどすか?
[ 何でも知ってそうな顔のニコラスが、出遅れたなどというのは、単純に不思議だった。*]
(90) 2016/06/18(Sat) 21時半頃