[>>86自分の挙動にサミュエルが何を思ったのかは知らず。
もし気付いていれば、ここから先は安くないよ、などと薄ら笑みを浮かべて冗談交じりに告げただろうが。]
マジ、だよ。
[サミュエルの言葉には薄く笑う。
この非常時に、他人の前で能力を晒す事は恐ろしいとは思わない。
女は自分の身が可愛いと思った事はなかったから。
望んだ結果を得られて安堵していた。
もしこれでフィリップが罪なき羊であれば、軽装備でダガーを持ったサミュエルと対峙せねばならなかったのだから。
フィリップがグロリアを殺したのなら―呪詛がどの程度の範囲で使用出来るものかは女は知らない。しかし現状ではその可能性の方が高い。―復讐の機会を失った事になるのだが、今は確実に信用していい相手が出来た事による安堵の方が勝っており。]
―うん、そうだよ。
無駄に見させてごめんね?
[疑う素振りを見せないサミュエルに女は緩く首を傾げてみせた。
女もまた、マドカとサイラスの事はまだ知らない。]
(88) 2013/12/07(Sat) 22時頃