あら。残念。
――色男を客にとれりゃァ、自慢話のひとつにでもなるかと思ったんだけれどねェ、
[男>71が仕事を持ってきたのだと分かれば些か残念そうに袖を離して、金を受け取る。
どんな情報を持っているのかも分からないってェのに先払いとは羽振りが良い。尚更馴染みに出来なかったのが悔やまれる。]
毎度。
生憎、其奴の情報に興味を持ったのは先刻でね。
アンタが欲しい情報があるかは分からないが、
[同じく懐から二枚の紙をひらりと男の目の前に差し出すと“丁度、千両を獲りに行こうとしていたところでねェ”と笑み。アンタも其れ目当てなのかィ?と首を傾げ――昨晩の話を思い出す。]
どうやらこの手紙を持っているのはアタシとアンタだけじゃァないみたいだね。
昨日、もうひとり手紙を持っている男を見たよ。酔っ払いでェ、お世辞にも身なりが綺麗とは言えない奴さ。
それを踏まえて考えるに、手紙はもっと沢山の人間に渡っているんじゃないのかねェ。
――例えば、鼠の野郎が鬼ごっこを楽しめるだけの人数にさァ。
(83) 2015/01/23(Fri) 01時頃