[マスクの向こうでは口呼吸が強いられている。
息を吸うたび喉がちりちりする。
唇も乾くし、なんなら乾いて切れてるし、あまり心地のいいものではないので、はやく鼻がかみたい。
そしてできれば鼻の下とかが痛くならないティッシュがほしい――そう思って店内に入った。
どんよりとした顔色など意にも介さず、入店音はごくごく明るく迎えてくれた。
日用品の棚のほうへ脚をすすめかけたところで、すごくゆっくり頭を上げた店員と目があった。]
……ぁー、……
[やんわりと会釈する。
重たい頭を動かすたび、頭がずきんと強く痛むので、下道はこめかみをもみながら、男性店員をみたまま、目を瞬いた。]
なんか……お疲れ?
だいじょうぶ?
[店員の顔色や表情をみるに、あまり元気そうには見えない。
抱えたケースもなんだか重たげだ。
昨日、薬屋でもないのにおだいじにとまで声をかけられたから、つい気遣うような事をいってしまった。人のことなど言えない体だが。]
(82) 2017/04/01(Sat) 23時頃