……赤いドレス。
成る程、君はいつもその服を着ているからね。
着せてあげたいところだが、生憎、ドレスは持っていないな。
[ホリーの返事を聞き、浅く頷く。
いつも変わらないその姿を見ながら]
……今作る事は出来るが……
クク。やはり、怒られてしまう。……嗚呼、そういえば。
[「君のお父上に」、そう省いた言葉は、正しく伝わるかどうかは不明確だったが。ふと思い出したように片手をポケットに突っ込み、拍子によろけかけながらも、掌に収まる物を一つ取り出した]
代わりと言うのも何だが……
こんな物は要るかい?
[掌に載せ、差し出してみせる。赤いリボン。布で出来た白い薔薇の飾りが付いているが、そのほとんどが赤く染まっている。先に解剖した研究員の女が身に着けていた物を、取った際にポケットに入れ、そのままにしておいたのだった。
彼女に本来の認識能力があれば、見るのもおぞましい物だっただろうが――反応を窺うように、じっとその顔を見据えた]
(81) 2010/10/30(Sat) 01時頃