― 昔の話/中庭にて。 ―
[その日もあたしはノートを前にうなっていた。
どうせ書いてもせんせーに見せて、苦笑されて終わりじゃないか・・・、とか。
本当に心からそう思っている詩を書いても、字にした時点で恥ずかしくて。
それを誰かに見られることを考えて、格好つけてしまって――。
詩を書いていると、自分のことが分かってくる気がする。
自意識過剰な自分がいて。
それを自覚するのが嫌になって、悩んでいた。
そんな折、突然話をかける人がいて――。>>59
ナナオは少し目を見開いて。ふい、と目を逸らしながら。]
・・・し。
[ナナオは詩、と言ったつもりだった。
うまく書けてはいないから、そっぽを向いてそう一言。
書いては消しての繰り返し、あるいは書かずに悩むの繰り返し。
最初はつれない返事をしていたけれど。
そんなスランプのループから、"目的のある音楽"・・・子守唄を作ったことで、少しだけ抜け出せたらしい。
何の為に。誰かの為に。そう思って作ってみると、うまくいくのだと。]
(81) 2015/06/05(Fri) 21時半頃