………っ、!
[勢い良く扉が開かれたかと思えば、飛び出してきた相手>>79にそのまま壁へと叩きつけられる。ろくに反応もできないまま、背に受けた衝撃に、げほ、と肺の息を吐いた。
首元で光るナイフを認めて、ひくりと表情を引きつらせる。]
おはよう、ございます。
……ローランドです。セシル・ローランド。
[敵意がないことを示すように、反応を伺いながらそろりと両手を上げて。
そこでようやく、青年の病状を思い出す。
名乗りながら、確か以前にも挨拶は交わしたはずだと思い返す。きっとこれも、意味のないことだろうけれど。]
そろそろ日も高いですし、よろしければ食堂で昼食でも如何ですか、と。
……思ったのですが。
[――帰りたい。先の言葉を繰り返しながら、けれど内心でそう思った。
自分が彼にどう思われているか、昨夜頭に叩き込んだカルテを思い出せば想像に容易い。だからと言って、関わらないように、ともいかないのが自らの立場だ。
そもそも何故、こんな物騒なものを持たせたままなのか。護身用と言うにはいささか凶悪な刃物を見やりながら、とりあえずそれを下ろして貰えないだろうか、と。
血のような赤錆の瞳を見返して、出方を伺った。]
(80) 2014/06/21(Sat) 11時頃