本田さんは…えと。なんで、俺をここに入れてくれたの?
[同じ質問を返そうとして、やめた。それが逃げなのは分かっていたけれど。共有スペースで進村と話していたときの本田の横顔がちらついて、まわり道をしたくなる。
しかし、返ってきた答えは想定の斜め上で。]
『槇村さんの事、もっと知りたいなと思って…?』
[上がった語尾は、まるで自分自身に問うような抑揚だった。
え、と意図せず声が漏れる。どうしよう俺そんな面白い人間じゃない。寧ろすごく面倒臭い部類。]
はは、なんも面白いことない普通の大学生だよ、俺なんて。
それでも良ければ、
こちらの狼狽など、本田は素知らぬ顔で(そりゃそうだ)。
それでも、会話を続ける努力をしてみたのは。]
俺も。本田さんのこと、知りたい。
[他ならぬ自分が、彼女の声を聞いていたかったからだ。]**
(77) 2014/03/24(Mon) 16時頃