[本を読み始めてどれ程経ったろうか。
温かかった紅茶もすっかり温くなってしまっていて、一口啜れば顔を顰める。(それは見る人が見なければ分からない程、微かな変化だっただろう)
喉の渇きを潤せば、ようやく空腹を思い出して、サンドイッチを一切れ口に運ぶ。
幸いにもサンドイッチに温度は関係無い。まあ、そこそこの味だった。
行儀が悪いと分かりつつも、そのまま本へと視線を落とす。
こうしていないと余計な事を(そう、例えば自分の余命とか)考えてしまいそうで、半ば必死に活字を追った。
他の奴等に比べれば随分軽い病だという自覚はあるが、けれど、当事者にとってそんな事は関係無いものだ。
一切れ食べ終われば、再びもう一切れに手を伸ばす。
皿には三切れ乗っていたので、あと一切れだ。
これを食べ終わったら自室へ戻ろう。そう考えつつも、ディーンの視線が本から外れる事は、ついぞ無かった]
(75) 2014/06/21(Sat) 03時半頃