ジェフの、最後の姿、か……。
森の偵察中に、狼に襲われ二手に分かれて、それきりだ。
僕は崖から落ちて、ジェフは後から衛士たちが探したけど見つかっていない。
人狼の噂のせいで、あまり人手が割けてないのもある。
遺体も見つかってないから、森のどこかで生きているかも……。
[自分自身ジェフの生存は絶望視してる中、下手に希望を持たせても残酷なだけだと分かっていても、つい気休めを口走っていた。
今はまだいい、との寛容さに、自分が今まで被害妄想で避け続けていたことが恥ずかしくなる]
僕が、生きていた方が、手がかりになるのか?
[上司の盾となり命を散らすのが、衛士の誉れだと。それができなかったお前は衛士失格の役立たずだと、死んだ方がよかったのにと。口性ない批難の的だった身には、その程度で少し救われた心地がした。だから]
ごめんな、ピッパ。
[事件以来初めて、ごく自然に、ピッパに頭を下げて謝ることができた。階段に去り行く背に、眩しそうに眸を眇め]
ところで、ラディスラヴァとは仕事仲間だったか?
彼女に不審なところがないか、少し聞きたいんだが。
(69) 2012/04/16(Mon) 21時半頃