[がくがく震えてまともに動かない膝でも何とかその場を離れようとしていたのに、肩に感じるひんやり冷たい温度にびくりと体を震わせて。
同時に親しいものが呼ぶ愛称で呼ばれ]
は?え?? 何?
[かくかくと不自然な動きで後ろをなんとか振り返れば、人の体を目にするよりも早く視界に入るのは、白い翼。
お前が、珍しい?いや確かに夜にくるのなんて初めてだしそれは間違ってないけどどうして。
どう見ても鳥のそれには見えない翼を背負う知り合いなど、いない。
異形の何かに続けざまに出くわして、完全に腰を抜かしてしまった。肩をつかまれているので目の高さがほんの少し下がっただけだが手を離されればそのまま崩れ落ちるのは肩をつかむ手からもわかるだろう。]
……
[勢いをつけすぎたのか一度は閉めた扉が反動で開いて、店の中に見知った猿の姿>>65に気づいたけど、それで何かを察することなどできる頭の状態ではなかった。やはり見間違いでないらしい。
角とか、鉤爪とか、金の瞳とか。
現実に見てはいけない何かが見える。見えてしまった。]
(66) sumizome 2015/08/13(Thu) 22時半頃