[これが無いと"生きて"はいられないものー
それが彼女にとって"唄"なら 自分にとって"芝居"で違いない あんたもあるだろ と問われれば せやなあ と]
僕はね 町の劇場で役者をやっとる
だから それをやめては生きてかれへんかな
お姉さんに 舞台で三味線弾いてもらえたら
もっと素敵やと思うんやけど どうかな
[つい 勧誘めいたことを口走る
自分にそんな権限はないのだけれど もし彼女が興味をもつようなら 座長にかけあってみようかという心算で
こんな野ざらしの場所で 盲目の女性がひとりでは 心もとないのでは と思ったそれは 無意識の慢心であり 才を溢れさせている彼女に 純粋に惹かれたからであり
彼女の返事がなんであったにせよ 自分を名乗ったあと 彼女の名前を訪ねて また来ます と 用事を済ませにそこから離れただろう**]
(63) 2015/01/22(Thu) 21時頃