―しばらくして―
[それから何人かの人の入れ替えはあったのでしょう。ラルフと共に作った温かなポトフはとてもおいしくて、お腹の中から満たされていくようだったわ。
――それでも、どんなに待っても。
ブルーノとショコラの姿は、見えなかったの。
皆、気付かないふりをしているだけ?それとも気づいているのに、口に出せないだけ?
そもそも2人は何でいなくなったのかしら。ヴェスパンダインのように、記憶を奪われてしまったから?それとも、誰かに密告されてしまったの?
自ずと視線はテーブルの上の薔薇へ。月食の時に、咲く、花。
それを告げていたのは、ブルーノだった――……
でも、何で、あの女の子まで? まさか彼女がショクだなんて考えにくいし、"失いたくない記憶なんて無い"って仰ってた、彼女が――。]
……あの、ブルーノさんと、ショコラさんは……
[食事のあとだったか、ふと呟いた一言を。誰か聞いてくれたかしら。*]
(59) 2016/10/10(Mon) 23時頃