― 回想・一人でできるもん ―
[そのまま、メアリーが話すプリシラの話に耳を傾けた。
路地裏で帰らぬサイラスを待ち続け泣いていたメアリーの傍にずっと寄り添って慰めていたあの青年の姿を思い出す]
……確かに、最初に会った時は遊び人風に見えて警戒したな。
ちゃらんぽらんに見えるし、がさつに見えるし、ガラ悪そうに見えるし、軽そうに見えるし、噂に尾ひれ歯ひれをつけて人の悪評を言いふらすように見える。いいや、絶対そうだ。そうに決まっている。
だが墓参りの時、ずっとメアリーを心配して寄り添ってくれていたな。
……メアリーが選んだ男ならば……。
お前が愛しているのならば……。
俺は二人の仲を祝福するよ……幸せになりなさい。
[赤い顔でコーヒーを飲むメアリーからふいっと目を逸らし窓の外を見る。
娘に彼氏が出来た父親のような心境だった、感慨深い涙が出そうになるのを気付かれないように窓の外の青空を見つめていた]
(58) 2011/11/23(Wed) 13時半頃