―夢のまた夢 回想―
恋とは難しいものなのだな。私は多分、まだまだ子供なのだろう。
[女性なのにと困ったように眉尻をさげて見つめる>>37ソフィアの細い肩を抱きしめた。]
私がずっと好きだった方は、長年この国を守ってこられた方だった。
だがカルヴィン様が身罷られ、アンゼルバイヤの灯は今にも消えんとしている中で、おそらく自らの拠って立つところを失ってしまわれたのだろう。
国のため、また自らのため、還らぬ戦いへと身を投じたのではないかと思っている。
私は今、私の好きだった方が守ってきたものを守りたいと思っている。それにはソフィアのような、復興の希望となる笑顔が必要だ。私はそれをみすみす絶やしたくはない。だから戦いたいのだ。
私は…この国がある限り、あの方は消えてなくならないのではないかと、心のどこかで思っているのだろうな。
[ソフィアの身体を少し離して、とびきりの悪戯を思いついた子供のような瞳で顔を覗き込む。]
幸い私には乗馬の心得がある。幼い頃には兄と共に武術の手ほどきも多少なりと受けている。
義勇軍に女が入るのは難しかろうが、男のナリをするというのは我ながらいいアイディアだと思うのだが、どうだ?
(55) 2011/11/18(Fri) 18時頃