……ったく、どいつこいつも浮かれやがって。
[それから暫く経った後も、男はウインドウショッピングをしつつ、街をうろついていた。男がぽつりとぼやきながら視線を向ける先には、至極仲良さげに歩いていくカップル達の姿があった]
とりっくおあとりーとぉー。
悪戯とお菓子、どっちがいーいー?
じゃあどっちも、但し、俺が頂く方だけどなあ?
可愛い美味しいお菓子ちゃんに、悪戯してやるよぉー。
きゃっ、もう、えっちなんだからぁー。
[甲高い裏声と低めた声とで一人芝居をしてから、はあ、と溜息を吐き、忌々しげに舌打ちして]
……なんて会話してんだろうなあ。
あーあ。俺も可愛い子といちゃいちゃしたいもんだよ。
[やれやれといったように呟く。男は特にモテないというわけではなく、むしろどちらかといえばモテる方だったが――半年前に当時付き合っていた彼女と別れてからは、独り身でいた]
(52) 2011/10/18(Tue) 23時頃