[殺すだけ殺しておいて、その理由をろくに説明しないまま去っていくのが悔しかった。
信頼を裏切り、ミッシェルを悲しませたことが腹立たしかった。
だからこそ――妹の為に花束を作った彼の優しさが、わからなくて]
――自分のしたことが、解っているのですか、貴方はっ!!
貴方が犯した罪の重さだけではありません、
貴方が"これから"私たちに課す苦しみがどれだけ重いものか……!
[女王を殺した彼が助かる道はもう無いだろう。いくら己が次代の女王になるといっても、覆せないものなどいくらでもある。
これから、自分も妹も、叔母も使用人も皆、喪失の悲しみを抱え続けることになる。――きっと、死ぬまで。
十年もの時間を一緒に過ごしてきた人間を忘れることなどできやしないのだ]
…………っ……!!
[――見送る背が、遠くなっていく]
(52) siro 2012/01/20(Fri) 21時頃