― 肆区 ―
[少し揶揄ってやろうと声を掛けた青年>>42は此方を見てなにやら固まり、此方から視線を逸らす。なんて初心な反応だろうか、見ていて面白いったらありゃァしない。
口元の三日月を吊り上げて、青年の腕に己の腕を絡ませる。振りほどかれないようであれば其のまま耳元に唇を寄せ。]
あら。残念でありんすなァ、
――女の園には興味ありんせんか。
[はぐらかす言葉には何も言わずに目を伏せて。少しだけ絡ませた腕に身を寄せる。
くすり、くすり。こういった初心な男ほど嵌れば金を落とすものだ。なァに、今は稼ぎが少ないだろうが――若けりゃ給金の良い仕事なんていくらでも斡旋できるさ。
だからこれはその為の先行投資。何も減るわけでもない、寧ろ増える可能性を孕んでいるのだから気は抜けない。]
じゃァ、御仁は何に興味があるんでありんすかねェ、
今流行りの鼠などは如何でありんしょう?
[勿論。賞金の千両を諦めたわけでは無く、然りげ無い情報収集も忘れない。]
(49) 2015/01/25(Sun) 19時頃