[商店街を通り抜ける。噂になっていたお店の前は、今日もちょっと列ができていた。
評判の肉まん。気にならないわけじゃないんだけど、列に並んで買うような時間はなくて、結局買ったことがない。
並んで買おうと思うくらい、美味しいのかな。
チャイナドレス姿の店員さんの、元気な声を耳に入れながら、今日もやっぱり列には並ばずに、私は前を通り過ぎた]
…………。
[別に何も悪いことはしてないのに、楽器屋の前を通り過ぎる時は、つい息を殺してしまう。
楽器屋の中にも、やっぱり入ったことはない。いつも通り過ぎざま、ガラス越しにチラッと見るだけ。それも、見れる日と見れない日があって。
今日は見れるかな。ぴかぴかの、銀色のフルート。
そんなことを考えている私の横を、学生服を着た男の子が通り過ぎていく。
私には決して開けられないドアを、軽々と押して中に入っていった。
店の女性の店員さんが応対に出てくるのが見える。もしかしたら目が合うかもしれないことが嫌で、私は楽器屋から目をそらした。
自意識過剰だって、わかってるんだけど]
(44) takicchi 2014/01/26(Sun) 17時半頃