『…いいですね。私は貰うばかりで、何もあげられなかったから。』
[彼が「同じ」と呟いたのには、首を傾げるだけ。
交換したのだという腕輪は、彼に似合っている。自分もあの子に何か渡せたら良かったのにと、今更後悔が増え]
『いいえ、気にしてませんから』
[大丈夫だというように小さく首を横に振って。>>35>>36
本当に話したくないことなら、風邪という言葉に頷いていただろうから。]
『ちょっとした気晴らしに来たんです。
ここに辿り着いたのは、たまたまというか……黒木さんは、どこに旅行へ?』
[うまく言えないのがどうにも恥ずかしくて、少しの情けなさ。
話題を変えるように、彼女のことを尋ねた。]
『ここら辺は大分辺鄙だった気がするんですが……』
[ぼんやりとした記憶を頼りに、そう書いて。
一度くらい妹と旅行に行ってみたかったと沈みかける思考を何とか持ち上げる。]
(38) 2014/03/02(Sun) 21時頃