[仁科がドスの効いた声>>29で飽戸の名前を呼んだ隙に、わしゃわしゃと頭を撫で回す。ほぼ同じ身長だから背伸びをし、無理をしていたが焦る仁科をからかう楽しさでお釣りは充分だった。
不意に謎の違和感に動きを止め、手を離す。
それが変わった呼称だと気付く前に、茅葺の隣にいた落合の方に意識は向かってしまった。
落合と屋上へ行く交渉、に良く似た何かを交わし、ぶっきらぼうにも聞こえる返答にくすりと笑う。
そろそろ裏玄関を後にしようとする前だったか。
耳と目について聞かれ、ぽかんと口を開けた。]
耳? ……あっ。
[ハッとして掌で頭に触れる。耳がない。
次いで頬に手を当てる。見えはしないが、シャワーを浴びた後にコンタクトを入れた記憶がなかった。
慌てて亀谷から借りていたタオルを頭に乗せ、端を左右から引っ張り誤魔化そうとしても後の祭り。
家では帰った時か、少なくともシャワー後には全て外しているのが仇になったのだろう。うっかり学校で警戒心を解いてしまった自分を悔やんで悔やみまくった。]
(35) 2014/10/05(Sun) 21時半頃