―― 広間へと戻って ――
[私は未だに信じられませんでした。私に、そしてここに集まった面々にショクかもしれない疑いが掛かっているだなんて、いいえそれほど曖昧な文面ではありませんでした。
赤い紙には、"いる"としっかり記されて居ましたから。きっとここにショクは居るのでしょう。私達の中の誰かとして。]
…はな ?
[へたり込んだままで居た頃、私よりもどっしりと落ち着いた雰囲気の者の声が届きました>>19
この期に及んで、花を活けたいと口にした男性は広間を出て戻り、悠々と花瓶を机の上へ置きました。]
……は はあ
[その言葉は自分だけに向けられたものではなかった事を知っていながら返事のように返してしまったのは現実離れしたかったからでしょうか。
こんな時でも花は美しいと思う心が無いわけではない。けれど。]
月食、ですか
[今、それが重要であるかと言われると違うと思うのです。しかし男性は気にした風もなく、廊下へと出ていってしまいました。そこに残された花をなんとはなしに眺めていました所。]
(32) 2016/10/08(Sat) 14時頃