[自分の名を呼ぶ声に、皮肉めいた笑みが薄らと。
何と言われようと今更。止められないのだ。]
皆、思うところはあるだろうが。
砂人を砂に帰さなければ、私たちは十日とせずに砂になる。
……だから。
少し、考えておいてほしい。誰に水を、かけるか。
流石に私の独断でやるというのは、不安だろうからね。
[その場にいる人間に伝わるよう、はっきりと、言葉を濁らすことなく声を出した。
他に村の人間で、それなりに年を重ねた者がいたなら、確実に役目を譲っていたのだが。なんて、重い役目だろう。以前に場を仕切っていた人間たちも、これほど重いものを感じていたのだろうか。]
……すまない、ペラジー。
巻き込んでしまって。
[灰色の目を伏せ、自分の次に大人である旅の青年に頭を下げる。
暫くして顔を上げたなら、ホリーにも伝えておいてくれないかとだけ残して、男は教会の中へと姿を消した。**]
(32) 2011/10/19(Wed) 02時頃