[ ――虫を眺めていた。いつだったか、気まぐれに露天商から買い取った蚕が、透明な硝子箱の中で桑の葉を咀嚼している。点々と緑色に開いていく穴を、虫の肢体を、薄く差す陽光のもとに見つめては、凪いだ顔を顰めさせた。蚕はたまに首を擡げてこちらを見やっては、また桑葉を食すのに熱心になる。腰掛けたベッドから立ち際に、その反芻をもう一度一瞥して、ふいと顔を逸らした。部屋着を脱ぎ捨て、適当なシャツに袖を通す。][ 着替えを済ませたところで、鐘が鳴った。朝と夜、日ごと定刻を報せるそれをぼんやりと耳にしながら。中心部に立つ塔を窓越しに眺めて、見慣れた薄緑色に目を細めた。自室のドアノブに手を掛けて、寸暇硝子箱を振り返る。あの蚕はあと何度、鐘の音を聞くのだろうと思った。……少なくとも。](あれも、また)
(31) 2014/10/01(Wed) 03時半頃
sol・la
ななころび
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