う、わっ!?
何やの、………吾郎くんか……!
[狼たちへの反応は遅れ、足を深く切り裂かれる。
黒いリボンが櫻子の影から数本伸びて、狼たちを捕えるとそのまま吾郎の方に投げ返した。
そして上手く動けなくなったと思う暇もなく、すぐさま襲い掛かってくる光の矢は自分の肩を貫いて。]
―――っ! あ、ぅ……っ…
[体中が痛む。今の攻撃で、恐らく内臓の一つか二つがやられたかもしれない。
矢自体は大したものではないが、宿る光の威力は計り知れなかった。]
まー、くん………
[彼の言葉には、ただそう名前を呟くだけに終わった。
何かを返してしまえば。それが、穢れてしまうような――そんな気がしたのだ。
小さな時から一緒だったのに。
いつから、お互いの道も未来も違えてしまったのか。正しいと思う方を貫くと言う彼が、今は眩しく見えて思わず目を逸らしそうになってしまう。
彼は自分と交わらぬ道を選んだのだと、悟らずにいられない。]
(26) 2014/03/25(Tue) 19時半頃