――――行っておいで。
[ぼそりと、視界をずらして横の方にいる"何か"に告げる。
その言葉の終わらぬうちに、小さい、少々ぬめった質感の何か、生き物のようなものが廊下を這って、挨拶をかわしすれ違った2人の男女の元へ忍び寄っていく。それは音もなく、するりと2人の足元から這い上り、驚くほどの素早さで2人の衣服の中か、どこかへと姿をくらましていった]
……気づいてはないかしら。
[違和感は感じるかもしれないけれど、おそらく見つかりはしないだろう、とは思う。そうであってくれないと面白くない。今はまだ種の様なものだけれど、これから芽吹くのだ。
宿主を弄び欲しい儘にするものになるのか、宿主の意に沿って動くものになるのか…それはわからないけれど。]
どちらにしても楽しいわよね。
[程ないうちに、彼らの日常を後戻りできないものに変えていく、その第一歩。今からでも違和感は生まれ、彼らを焦らし、苛むかもしれない。考えただけで、胸が躍らないわけがなかった。]
(24) 2014/04/30(Wed) 21時半頃