[そのまましばらくラルフを見ていたが、自分も一応鞄の整理をしようと思い立ち、机の上に中身を出していく。
そのとき、一昨日から突っ込んだままの余った紙とペンを見つけて、机に置いたままのランタンの絵に気付く。少し迷った後、絵を仕舞い、紙を広げる]
ヴェラへ
今何を思っているのか、俺に怒っているのかも分からないが、もう一度言いたい。ありがとうと。
俺は船に乗ることになった。ラルフと一緒にだ。
俺がこの街に帰ってくる頃には、ヴェラはきっともう旅立っていると思った。本当は会って話をしたいんだが、会えないかもしれないと思って手紙に書いた。
俺は、本当に感謝しているんだ。ヴェラがどう思っていても、それは変わらない。って、なんだろうな。上手く書けねえや。
出来れば、また会えることを願って。
信愛なる友へ 俺はお前の友達になりたかったよ。 ヤニクより
[そこまで書いて、そっと鞄に入れる。船に乗る前にサイラスに渡そうと考えていた。そして、荷物を用意するラルフの背中に額を当てて、目を閉じた]
俺は、ずっと側に居るから。
[どこにも行かないから、居なくならないから、側に置いてくれと願いを込めて言う]
(24) 2014/05/20(Tue) 21時頃