[手を握り合い、ひとつのベッドで眠る。眠りに就くまでが遅かったせいか、起きた時間はいつもより遅く太陽がほんの少し高い位置にある時刻だった。
射し込む日光の角度に跳ね起き、ズキリといつもの痛みが襲ってきた。目を閉じて意識を集中させればチヴェッタ内の光景が手に取るように分かる。
昨日の妖精に加えて新たに推薦したオスカーと、もうひとり。
黒い服に長い髪。見間違いないようのないあの格好は。]
え……なん、で?ヴェスパタインさんがチヴェッタに……。
[呆然と呟く。ヴェスパタインもサイラスもチヴェッタに乗るなんて一言も言ってないし、そんなことは聞いていなかった。
何かの間違いじゃ、と部屋を確認したが彼の姿はない。何も言わずに先に乗ってしまうほど、嫌われでもしたのだろうか。]
驚かせようとでもしたのかな、あはは。
[落ち込む自分に何か声を掛けられたならそう言って苦笑した。少しだけ重苦しい空気で朝兼昼御飯を食べてから、昨日途中だった船に乗るための準備を再開した。**]
(22) 2014/05/20(Tue) 00時半頃