喰い過ぎだな。こんなことを言うのは、お前たちに悪いが。
[伸ばしたままの右手に向かって、そう言ってから、苦笑した。
魔法使いの生命の延長の1つに、魔物がある>>3:115。
群れを好むヴェラは『狩り』の頻度に比べれば、分け合う分だけ得てきた『餌』は少なかったのかもしれないが。
もともと変身に慣れ親しんだこの体は、いつ変貌を遂げてもおかしくはない状態だったのかもしれない]
ま、私は強いから問題なく背負えるが。
…………ん?
[ふと、何かの気配を感じた気がして、ヴェラは革袋を抱きしめ、再び周囲を見渡した。
それはただの気配。ヴェラの鼻は雨に絶たれているのだから。
何かが、決して小さくない何かが、自分が立ち去ってきた方向へと、突き進んでいく>>気配>>13。
ピキッ……パキッ……と。
生まれるは疑念から、やがては滾る思いへと。今、狼の姿であれば、背の毛が逆立っていたことだろう。
ヴェラは革袋を胸に抱くと、迷わず毛皮を解き放った]
(20) 2013/06/19(Wed) 20時半頃