――――…ぐ……
―――…うぁ……
[重い足音で地面が揺れる。振動に合わせて砂利が揺すぶられすぶられ、変身の解けた黒木の眉間を突き刺している。その痛みに顔を歪めた。ということは……]
へへ……俺……
……生きてんな……
[笑うと全身が痛んだ。黒木は左頬を地ベタに付けて倒れていrる。ウルフマンスーツは今や消え、黒い革のライダースジャケットは袈裟がけに裂けていた。そこかしこが破れ、血と泥でべったりと汚れていた]
譲司……マコ……取り返さないと……
[両手をついて、ゆっくりと立ち上がろうとする。笑えるくらい大げさに五体が震える。わなわなと前腕が痙攣していた。そうしてついに、立ちあがる努力は無駄に終わった]
シュウ……マコト……ゲンタ……アンナ……
―――……ジョウジ………
[傷つき力が出ない自分が悔しく、黒木は爪から血がにじむのも構わず砂利を握りしめるばかりだった。胸元で宝玉のついたドッグタグが金属的な音を立てた]
(19) 2011/12/22(Thu) 00時頃