そこ、冷たくねぇ?
[そう声をかけてから、特に断るでもなく自分も彼女の座るベンチへと腰をかける。背もたれに両肘を乗っけるようにして背中をつけ、首を空に向けた。こちらに向けてやってくる隕石とやらは無論見えない。
肝心の何処に行くかという問いに答えていなかった事に気付いたが、自分でも何故夜通し歩いていたのか、何処を目指していたのか覚えていなかった。
なので再度問われない限りはこのまま黙っていようか――と思ったところで、切れた事に気付いてジャンパーの懐をまさぐる。
緑色の瓶を模した駄菓子の容器を取り出して、端の一部が不自然に欠けた白い錠剤を手に取り自分の舌の中央に乗せてから口を閉じる。
歩いていた何かを思い出し、近くに居た誰かを共に自分の中で忘れるまで、口に含んだそれが舌の上で溶けるのに意識を向けていた。**]
(18) 2014/01/16(Thu) 14時半頃