― → 保健室 ―
[保健室に行く前に、トイレにむかう。最初、数歩は歩いていたけど途中からは口元をおさえての小走りだ。
胃の下辺りの圧迫感と喉にのぼってくる威圧感にトイレのドアをしめる余裕もなくしゃがみこんだ。
胃の中は空に近かったので水分ばかりだったのは幸いなのか、なんなのか。どちらにしろあまり他人に聞かせたくない声が出た。少し食べた夕飯が消化しきれてなかったみたいで、喉にご飯粒がひっかかった。喉に異物として残っていてかゆくて気持ちが悪い。更に薬の味が戻ってきて、口の奥に居座ろうとする。気持ちが悪い。きれたんじゃないのおまえと心の中で悪態をつく余裕はなかったが。]
えほっ げほっ
[へんへんと甲高い咳を更に加えると、ご飯粒はすこしとれた。その後、]
えぇー…
[脱力するような低い声が喉からもれた。はあ。一度トイレの水を流す。流した後にまたくる圧迫感に、また喉が絞られた。また水を流す。先程よりも水の勢いは少なかった。
はー…、はー…。区切りにゆっくり息をはく。涙目である。すんっ、鼻をならした。学校のトイレで深呼吸なんてしたくないけど苦しいので仕方はない。 静かな水のにおいがする。]
(17) taru 2012/05/08(Tue) 10時半頃