─ 裏玄関 ─
[うにゃうにゃと不明瞭な発音で眠気をぼやき、横たわり目を閉じようとしては仁科に何度もそれを防がれただろうか。
急な電力復帰は瞼を閉じていても眩しく瞳を焼き、のっそりと緩慢な動きで手の甲を目に押し当てた。]
あぅっ……頭を叩くと脳細胞が破壊されるのだぞ…っ!
俺の貴重な細胞が、だ!どう責任取るつもりだ?
[どこからか現れた茅葺>>7に頭を小突かれ、素っ頓狂な声を上げる。観念して起き上がれば頭からタオルが落ち、猫耳のない湿り気の残った白金色の髪が肩口を掠めた。
じとー、と茅葺を見上げる右目はカラーコンタクトがないせいで、左目と同じ青色をしている。]
……ん?ああ、電気が点いたのだな、ご苦労。流石は錠。
階段も無事に乗り切れたようで何よりだ。
[背伸びをし、勢いを付けて椅子から立ち上がると労りを込めて、にんまりと意地の悪い笑みを浮かべつつ茅葺の肩を叩く。
ふと茅葺の言葉に釣られて仁科を見れば、可愛いひよこのフードが背中に垂れていた。
仁科のやや後ろに立ち、隙を見て──具体的には茅葺からジャージを手渡される時やら──にフードを掴み、すぽっと頭に被せてやっただろう。]
(13) 2014/10/05(Sun) 13時半頃