─寂れた教会の中─
[墓標の上で眠っていると、墓守に見つかって起こされた。そのまま教会の中へと促される。
中に入ると、以前に顔を合わせた事のある神父が出迎えてくれた。
奥の部屋へと案内され、借りた毛布に身を包んだ後、暖かい紅茶とパンを与えてくれる。
夜分ゆえ食事の支度がないと詫びる神父に、お気遣いだけで十分です、と遠慮がちに首を横に振ってみせる。
目の前に置かれたカップの表面を両手で包むと、凍えそうだった指先がじわじわと温まってくる…]
……。
[今まで気づかなかった。
たったこれだけの事で、”生きている”と実感するなんて。
そのままカップを見つめていると、神父から召し上がれと促される。
カップを口元へ運ぶと、湯気が顔に当たった。息を吹きかけ口をつけると、茶をゆっくりと数回に渡って飲む。
冷えきった身体が芯から少しずつ温まってきて、溜まった息を吐き出す]
(13) 2011/11/24(Thu) 22時半頃