―???―
[“その人物”の前に現れたのは、古めかしい黒衣の男。過去の修道服だと、知識のある者にはわかるだろうか。男は、具合が悪そうな様子で、“その人物”を見つめていたが]
どうやら……『鍵』は君を選んだようだ。
世界の理(ことわり)を変え、運命《フォルトゥーナ》さえも拓くという力の片割れ…どう使うかは、君次第…まぁ、これ一つだけではそんな力は宿してないけど。一つだけでもなかなか強い力を持っている…よ。
[相手に意識があろうがなかろうが関係なく、一方的に話した黒衣の男――ムパムピスの胸から、宝石のような光がゆらりと現れた。それはよく見れば鍵の形をしていたが、ムパムピスから“その人”の前へと移動し…その内へと、ふっと消えた]
…これで、僕は力を失った。今はただの風に過ぎない。
やっと大気の中へ消えられる………
(6) 2011/06/06(Mon) 06時頃