[>>0:118金髪の男は自らをニコラスと名乗った。
細められた目元が、持ち上がった口角が、こちらの表情を見るなり苦笑いへと変わる。
上品な笑みよりも人間らしい表情を見ることができて、ようやく胸をなでおろしている自分がどこかにいた。
『探し物を見つけるためにここへ来た』というニコラスの言葉に、嘘の気配は見当たらない。
ならば疑うべきは館のほうだろう。
人など寄りつかぬ森の中、掃除はされている(と思われる)ものの生活感のない屋内、一向に現れない住人。
バカでも分かる。この館がフツーじゃないってこと]
迷い子。
……ふふ、そうね。
[>>0:119顎先をわずかに沈めるように小さく頷くニコラス。
頷き方一つにだって、人間性が出るというものだ。
彼の言葉に、迷子のように頼りなげだった表情を、いたずらを思いついたような笑顔へと変えた]
(1) 2016/10/08(Sat) 00時半頃