[向けられる眼差しに、僅かに不服そうにピクリと眉を持ち上げる。
――嗚呼、その瞳は気に食わない。そんな虚ろで濁った瞳は…感情の無い瞳は気に食わない。
恐怖も嫌悪も滲まないそんな瞳なんて。きちんと映してくれなければ――"意味がない"のに]
…どうしました、大丈夫ですか。
[微かな苛立ちのままに、抉った傷へと触れてやれば堪らず嘔吐くその様に、ようやく嗤う。
それでも言葉に載せるのは、さも心配しているような一言――"あぁ、満たされますね"なんて、心の中では思っているけども。
押し退ける手をそっと払いながら、まるで介抱でもするように背中をさすってやれば、その体は果たして震えてくらいはくれただろうか。
ひとしきり吐き終えた彼を見つめ、微かに嘔吐物の散った白衣を脱ぐ。
見るな、見るなと呟きながら顔を覆い、嗚咽を漏らす彼>>+44の前に広がる、ツンとした臭いを放つそれ。
そこへ脱いだ白衣をパサリと被せて立ち上がり、彼の涙で濡れた頬へと手を伸ばしながら]
口を濯ぎましょう。立てますか?
[告げる声は優しく、穏やかに。そしてたっぷりの憂慮の色を乗せて。
絶望に咽ぶその顔へと触れる手には、一欠片の悪意すらも乗せぬままに]
(+47) 2014/07/04(Fri) 02時半頃