― 処刑場 ―
[又、縄が軋んでいる。
その場に押し留めてくる手が消えた頃にはもう、辺りは薄闇に包まれていた]
……本当に。
どうして始まってしまったんでしょうね、黍炉先生。
[最早諦めの勝った声で、揺れる黍炉の身体に問いかける。黍炉に怯えを拭って貰って、その黍炉が死んで、かさついた心に残ったのは淡い疑問がひとつだけ]
[黍炉を送らなければならない。その一心で立ち上がろうとしたとき、喉に食い込むものがあって動きを止める。首に触れればささくれ立った麻縄の感触。ずっと脳裏に響いていた縄の軋む音は、今や自らの背後まで近づいていた]
あぁ、もう少し……待って下さい。
黍炉先生を送らないといけないんです。
[“私を縊るのならその後で”そう言って縄を引くけれど一向に解放されない。手だけではどうにも出来ない事を理解し、上着を探って、ベネットの縄を切るときに使ったナイフを見つける。縄を掴んで迷わず突き立てる]
(+2) 2013/09/18(Wed) 23時頃