[走る汽車の窓から外をぼんやりと眺めていれば、景色の向こうに見えたのは見慣れた大きな科学塔。
朝陽を浴びて遠くに見えるそれは、とても、とてもゆっくりと窓の外を走り行く。
――あの國で過ごしたのは、果たしてどのくらいの間だっただろう。故郷と呼ぶには短く、旅と呼ぶには長いその年月。徐々に遠くなるその塔の影を追ってしまうのは、やはりそれだけの年月を其処で過ごしたのだと、言うことなのだろうか。]
………ん、
[そうしてふ、と。震えるポケットに気付き。其れを開いて見たのなら、そこには二通のメールの通知。何方も、差出人はあの歳の近い友人だ。
先に来ていた一通>>2:383は、昨日の昼の"デート"を揶揄る一言と、"今日"より先の晩酌の誘い。
応える事の叶わぬそれには、小さく、小さく苦笑を漏らす。
最後に付け加えられた一文には、呆れたように肩を竦めはしたけれど。]
(+0) 2014/10/07(Tue) 05時半頃