254 東京村U
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―新宿―
いや、違うんスよ。 まあ、ちょっと……このところ、カラスに目つけられてるっつーか。こっちをつけられてるっつーか。
なんなんスかねえ、全く…
[視線でちらちらと上空の様子をうかがう。カラスらしき影はない。]
まあ、鈴里さんが気にしてないならいいんっスけどね。 多分、何かあるとは思うんっスけどね、あの部屋……
[彼女がどこに行くかという事は少し気になったが、そちらの件は彼女の仕事だ。自分の件とはまた違う話だろう]
そっちの物件は事故っつってももう少し違う案件なんでしょう? ……まあ、気つけてくださいよ。
[鈴里には、そんなように告げておいた]
(+0) 2016/10/03(Mon) 01時頃
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さて……
[鈴里と話をしていたのはどのくらいだったろうか。 別れて、どこか診療所か、せめて薬局を探して歩きだす。
歩き出して、どこかの横断歩道に出た時。]
「危ない!!」
[どこからか声が聞こえた。はっと辺りを振り返る。聞こえるのはその声の他には雑踏と、行きかう車の音と、タイヤの擦れる…]
………え?
[振り返った時には、トラックがこちらに向けて突っ込んできていた。反射的に飛びのいたのか。それとも吹き飛ばされたのか。目の前が暗くなる感覚と……それから地面に叩きつけられたか、背中に衝撃が走って。]
(+3) 2016/10/03(Mon) 01時半頃
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なに、が……あ、いつは……
[息ができなくなるほど背中を地面に叩きつけられた。人が集まってくる。右足に激痛がはしっていた。人が騒ぐ声。他にも負傷者がいるらしい。電柱にぶつかって前方が大きくひしゃげたトラックの運転席側の窓から、1羽の大カラスが飛び立った。
ハンドルを取られたせいでこちらに向けて突っ込んできたのだろうか。
……意識を失う前、病院の救急病棟で目を覚ます前に新宿の交差点で見た光景で、覚えているのはそこまでだった**]
(+4) 2016/10/03(Mon) 01時半頃
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―新宿衛生病院―
ここ、は……?
[白い天井だ。声を出そうとして、痛みに胸を押さえた。 たまたま傍に看護師が付いていたから、話は早かった。
どうやら、自分は新宿の交差点でトラックの衝突事故に巻き込まれたらしい。他にも死傷者が何人も出たそうだ。それを考えれば、頭を打ったとはいえ肋骨にひびが入ったのと、右足を骨折しただけで済んだ自分は大分幸運だったのだろう。]
(+8) 2016/10/03(Mon) 21時半頃
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とは言え、これじゃ明日の面接は無理か…… 随分大きな事故らしいし、連絡入れりゃ何のことかわかるだろうが……相手さんが面接待ってくれるかどうか。
ま、ダメならしゃあないな。今更10日ぐらい入院したって大勢には変わりねーし。むしろ再就職してすぐ入院ってなるよりこっちの方がまだしもだな。
[失うものが何もないのだし、重傷でないから入院もかえってアリだ。そう開き直ってベッドに寝転ぶ。]
……ん?不在着信か、これ。
[表面がひび割れているものの、機能自体は問題なく使えるスマホに着信が>>34>>35入っていた。]
(+9) 2016/10/03(Mon) 21時半頃
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これは……鈴里さんか?
[発信相手に向けてこちらからかけ直す。不在でも問題はない。用があれば向こうからかけ直してくるだろう。そうしながら、考えるのは事故の事だ]
あのカラスが運転席から飛んでいくのを…確かに見たぞ。 運転席の窓が開いてるところに入り込んで、運転手を襲って手元を狂わせたか……無茶苦茶やりやがる。
どうすっかな……
[今となっては疑いようもない。隣室の3人とも、あのカラスが通風孔の中の何かを人の目に触れさせないために何らかの方法で殺害したのだろう。 となると、このまま戻っても、また狙われるのがオチだ。何か対策を考える必要がある。]
駆除するつもりでいかねーと、こっちがやられるな……
[幸いにもまだ10日ある。黒い鳥に状況報告と面接延期の申し出を済ませた山岸五郎は、もはや面接の行方よりもカラスへの対策に意識を集中させていた]
(+10) 2016/10/03(Mon) 21時半頃
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―新宿衛生病院―
しっかし……
[肋骨も右足もひとまず縫合が終わり、ギブスを巻いている。しばらくは車椅子、そのあと数日は松葉杖がいるだろう。とは言え、それだけだ。別段痕が残るというわけでもない。]
問題は、どうやってあいつに対処するかだよな…… 夜ならさすがに問題ないだろうが、まさかって事もある。
……って事は、あれか。
[フルフェイスのヘルメット、ライダースーツ、バイクグローブ。この辺りの装備は必須だろう。バイクに乗らずにこの格好だと目は引くが、背に腹は……というより命には代えられない。]
(+19) 2016/10/04(Tue) 22時頃
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……なんだったんだろうな。あいつ……
[ジリヤと名乗っていた少女の事を思い出す。ドッペルゲンガーがどうとか言っていたが、彼女は元気にしているのだろうか]
……ま、なんでもないって言ってたしな。 何か言ってこなけりゃそれまで……ってのは少し冷たいか?
どうだろうな。
[何か言ってきたとしても、この状況では何ができるわけでもない。命に別条がないとは言っても、病院の外に出られるような状態ではないのだ]
俺の経験よりよっぽど奇妙な事が起こってんのかね、東京では今……
[それはいくら考えても自分にはわからない事だ。窓の外、新宿の夜景を眺めながら山岸五郎は考えをそこで断ち切った。*]
(+20) 2016/10/04(Tue) 22時頃
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[ふと、スマホの着信音が鳴った。手に取って発信元を確認する。]
鈴里さんじゃない…か。
もしもし。ん……ああ。お前か。
[表参道で今朝会った同僚からだった。どうやら、新宿の交差点での事故の時、近くに知り合いがいたらしい。これだけ人の溢れる街とは言え、自分が思っているよりも随分狭い世界らしい]
大丈夫だよ。何?カラスが…あいつ、やっぱり運転席にいたのか…
え?カラスが……運転?トラックを? バッカお前、んなわけねーだろ。そりゃまあ、カラスは見たけどな。…ああ、見た。俺もな。
(+27) 2016/10/04(Tue) 23時頃
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欲しいもの?見まいに来る? よせよ、むさ苦しいだけだっつーの。まあ……来るってんならそうだな。果物でも持ってきてくれ。ブドウがいいな。あ、俺はデラウエアしか食わねーからな。
それと……そうだな。なんでも持ってくるってんなら…
北米インディアンについての本。何でもいい。図書館とかにある本。片っ端から借りて持ってきてくれ。返す時は手伝う。
……いや、そんな露骨に嫌そうな喋り方すんなよ。なんでもっつったろ?返す時は手伝ってやっからよ。え?当たり前だ?まあいいじゃねーか。頼んだからな。
[何でもと言った手前、渋々承諾するまで元同僚を説き伏せて、通話を切った。相部屋なので隣の人間が若干迷惑そうな顔をしていたが、山岸五郎はそんな事を気にするどころか、気づくような男ではない。]
(+28) 2016/10/04(Tue) 23時頃
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……俺の予想だと。
多分これで、当たりが引っかかるんじゃねーかな……
[ごろりと横になって外を見る。夜の新宿はどこまでもいつも通りで、その中で奇妙な出来事が起こったとしても全ては日常として処理されていくのだろう。そんな事を思わせるぐらい、圧倒的に日常だった**]
(+29) 2016/10/04(Tue) 23時頃
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