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スティーブンに1人が投票した。
ズリエルに5人が投票した。
ズリエルは村人の手により処刑された。
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ヤニク! 今日がお前の命日だ!
2014/09/11(Thu) 00時頃
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ヤニクが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、スティーブン、ジリヤ、シーシャ、クリスマスの4名。
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―昼前―
[胸に僅かに残る約束。 その約束の為、彼女は中庭へと向かった。 一緒に、日向ぼっこをしようね、と。 約束したのは、誰だっただろうか。]
…分からないわ。
[彼女はそっと一人ごちる。 けれど、その誰かが、待っていたらいけないから。 しかししばらく待っても誰もやって来ないものだから、早々に飽きてしまった。 …否。虚しく、なってしまった。]
…約束…
[それは、何と虚しいモノだろう。 それは、病気に関わらず、虚しいモノなのかもしれないけれど。 諦めて、中庭を去ってしまった後。 そこで何があったか、彼女が知ることは無い。]
(0) 2014/09/11(Thu) 00時半頃
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[
ひらり
はらり
花びらが舞う
]
(1) 2014/09/11(Thu) 00時半頃
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[色とりどりの、花びらを道に残し、彼女は廊下を進む。 先生に、会わなくちゃ。 診察室へ、向かう。
はたして先生は、診察室にいたことだろうか。 どこにいたにせよ、最終的に彼を見つければ、彼女はふんわりと、笑った。]
こんにちは、せんせ。 お話したい事が、あるの。
[先生は、どんな顔をしたことだろうか。 それでも話は、きっと聞いてくれるだろう。]
(2) 2014/09/11(Thu) 00時半頃
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ッ、ズリ、──────ッ、
[ばつん。 およそ人の体から発せられたものとは思えない、音。>>4:115 紅鳶色の瞳が限界まで見開かれる。 ばさばさ、と乾いた音を鳴らして、その下半身が『落ちた』。]
な…っ、なん、────……!
[ぶわ、と。視界を花が埋め尽くす。目の前で上下に分かれた身体の断面から、一斉に芽吹く。砂色。砂色。砂色。押し寄せて、風に舞う。
消えないで、いられる。 そう、彼の声が言った。伸び上がる花達に阻まれて、その表情は見えやしない。
やがて。 蒸された屋上のコンクリートの上に、呆然と立ち尽くす、青年の前には。 砂色の花の洪水と、黄色いキャンディが、ひとつ。]
(3) 2014/09/11(Thu) 00時半頃
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先生、あのね。
[彼女は、はにかむような表情を見せる。]
もうちょっとで、私、大事な記憶、全部なくしちゃうと思うの。 だからね。
[一瞬だけ、言葉を紡ぐことを、躊躇い。]
全部、無くしちゃったら… 私、お薬やめたいの。
[先生は、どんな顔をしたことだろうか。 彼女が大切と称する記憶は、彼女の記憶のごく一部。 それを無くしても、まだ残る記憶は少なくないだろう。 まだ、治療を続ければ、病状の進行を遅らせることができる。 それを、やめるということは。 広義の意味での、自殺と同じだ。]
(4) 2014/09/11(Thu) 00時半頃
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[止められただろうか。 怒られただろうか。 あるいは…
しかしどんな反応も、彼女の気持ちを変えることはできない。]
それ、を無くしちゃったら私、もう私じゃないと思うの。 そうなってまで、生きようとはどうしても。 …どうしても、思えないの…
[彼女の微笑は、崩れることがない。]
(5) 2014/09/11(Thu) 00時半頃
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[それからしばらく話をしただろうか。 ついでとばかりに、最近花になった人たちの名前を聞いて。]
…そ、か。
[ぽつり、と呟く。 自分がどれだけ酷いことを言っているか、その自覚はあった。 それでも、譲れない想い。]
…ごめんなさい、せんせ…
[小さく呟いて、その場を後にする。]
(6) 2014/09/11(Thu) 00時半頃
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[廊下で話した男の指し示したのは中庭>>4:107]
真ん中…ってどこかしら?
[白い風の吹く丘に建った箱 その真ん中にある中庭は 様々な木々や花々が生い咲き乱れ 色に溢れた場所だった]
まるで、あの絵みたい
[物悲しい旋律が風に舞い上がり どこからともなく聴こえて >>4:113>>4:114
正しくは、あの絵がここを描いたもの それに気づいたのは、すぐのこと]
(7) 2014/09/11(Thu) 00時半頃
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―回想―
[それは、いつのことだったろうか。 『君なら、きっといい花嫁になるだろうね。』 そう言った>>4:93青年の言葉に、一瞬目を丸くする。]
良い、花嫁?
[それは、一体どういう意味だろう。 それを、考える前に、眦から一粒の雫が、頬を伝って落ちた。]
あ…ごめんね!
[慌てて隠そうとするも、彼はしっかりと見ていたのだろう。 謝られてしまえばますますいたたまれなくて。]
(8) 2014/09/11(Thu) 01時頃
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…ううん。いいの。 ありがとう。
[切望しながら叶わなかったその夢を。 きっと似合うと言ってくれた、その人の言葉に感謝をしたのは確かで。 けれど、それ以上に胸を締め付けるような心持に、きっと綺麗に微笑むことができていないんだろうな、と、頭のどこか片隅で、妙に冷静に思ったのを覚えている――…]
(9) 2014/09/11(Thu) 01時頃
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―中庭―
[ざぁ、と風の流れる中庭で。 その純白のドレスを見つけた。 色とりどりの、花に埋もれるようにして。 傍らには、見覚えのある、楽器が1つ。
呼び起こされた記憶と共に、その場にそっと、立ち尽くす。]
…あのね。私。 もうすぐ、ウエディングドレス、着る予定だったのよ。 真っ白なレースの、素敵なドレス。 …着たかった、なぁ。
[彼女の口元に、微笑が浮かぶ。]
(10) 2014/09/11(Thu) 01時頃
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…………これが、
[両手をすり抜けた質量を、何ひとつ留めておけなかった両手を。ただ、見詰めて。]
これが。これで。────オマエは、もう。苦しくない、のかよ。
[もう、苦しいのは嫌だと、そう言った彼の。散らばった、『彼だったもの』に。]
ホントに、これで、……苦しく、無くなったのかよ。
[コンクリートの上を這う、一つだけ鮮やかな色を載せた一輪が。風に揺れて、ことん、とその黄色い飴玉を手放した。
膝が折れる。崩れるように身体が傾いで、着いた両手が砂色の中に埋まって。]
冗談、だろ…なあ。こんなの、こんな……
[掠れた声が漏れて、ひゅ、と喉が鳴る。 噎せながら短い呼吸を繰り返して、知らず拳を握り締めた。]
(11) 2014/09/11(Thu) 01時頃
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[紫のブーケの咲く場所を探していて 見知った顔に出会う]
…御機嫌よう、金色の妖精さん
[彼女はどんな顔をしていただろうか 自分は彼女から、どんな顔に見えただろうか]
(12) 2014/09/11(Thu) 01時頃
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[すでに、記憶から抜け落ちてはいたが
来てすぐのこと、いきなり写真を取られて驚いて それ以来、中庭へ行くのをやめてしまった
記憶から、その出来事は消えてはいても どこかに、その嫌な気持ちは残っていたようだ
自分の嫌いな自分の姿を写し取り 彼女自身の記憶を埋めるために使うこと それが多分、自分には堪えられなかった
記憶には残らずとも、思いだけはここにある*]
(13) 2014/09/11(Thu) 01時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/11(Thu) 01時頃
お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/11(Thu) 01時頃
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[花に向かい、何かをそっと囁いた、その後だった。 ごきげんよう、かけられた声>>12に、振り返る。]
あら、こんにちは! ジリヤちゃん。珍しいのね。
[中庭で見かけることはほとんどない少女。覚えていないだけだろうか。 しかし記憶をひも解けば、メモに記された文字が蘇る。]
…うん。珍しいわね。
[確かめるように呟いた。 中庭にいることだけでなく、自分に話しかけてくることが。 少女が自分を苦手としている、あるいは嫌っていることは、記録にあった。 その少女が自分に話しかけてくるということは。]
何か、お探し?
[彼女は淡い笑みと共に、少女に問いかける。]
(14) 2014/09/11(Thu) 01時頃
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[花。花。花。何人も見送った。皆、みんな穏やかに、静かに。忘れて。わすれて。すべて忘れて、そして遠くにいってしまう。それがどんなに恐ろしいことなのかさえ、忘れて。
その場に蹲った。額に固い感触。 セシルの声が脳内に蘇る。『僕らの為に咲いているのだとしたら』。そうだ。知ってる。だって。 忘れなきゃ。そうしなきゃ、生きていけない。生きてなんて、いけなかった。
どれほど全てに絶望しても、何一つ忘れられないから。全てを忘れてしまいたいと。 そうだ、望んだのは自分だ。知っていた。きっとこの花は、自分の為に咲いているのだと。
それでも、ここで出会ったすべてを。手放さないと決めたのも、自分自身だから。]
――オマエのせいで、オレはぜんぜん、苦しいまんまだよ。 ……くそったれ。
[しつこいって、言ったろ。口元だけで笑って、また、奥歯を強く噛んで。 吐いた息と共に落ちた声は、もう滲んではいなかった。]**
(15) 2014/09/11(Thu) 01時半頃
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[彼女の問いかけに、ぽつりと]
紫のスイトピーの…ブーケを…
[それが、誰かはいわず 昨日の今日のこと いつも通りであるならば、彼女にも分かるだろう]
…花嫁衣装?
[彼女はすでに手にしていたか それとも、まだそこに埋れていたか 苦い顔をして、白いドレスを見つめた]
(16) 2014/09/11(Thu) 02時頃
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[花に埋れた楽器が目に留まる>>10 その綺麗な状態から、察するに]
…また、誰かが咲いたのね
[そのまま、ここに根づいたのは明白で 先ほど聴いていた音色を奏でていた楽器であり その奏者だと気づく]
…おやすみなさい、楽師さん
[そっと、つぶやいた]
(17) 2014/09/11(Thu) 02時頃
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[かさ。かさり。 葉が、蔦が、それを包み込んだ名前入りのシャツが、風に揺れる。 飴玉を零した一輪を、掬い上げるように摘み取って、両手で抱えた。 散らばった硝子が食い込む足が今更痛む。脱げた内履きの事など既に念頭に無く、青年は裸足でコンクリートの上を歩く。
足元の感触がリノリウムに変わる頃、床に残されたのは、赤い湿った足跡と。 その雫に染められた、ほの白い幾つもの花びらが。]
(18) 2014/09/11(Thu) 02時半頃
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[記憶にはない、日記の中にも残っていない ある日、書庫で聞かれた問いに>>4:117]
…そうね、素敵な物語
[以前、誰かに問われた時と全く同じことを 隻腕の楽師にも返したか]
悲劇でも、喜劇でも… 結末まで謎が解けなくても
素敵な物語は読んでて幸せな気持ちになるわ
[たとえ、どれだけ現実が理不尽で 孤独に苛まれていたとしても 物語とは、ひとにとって糧となる「記録」]
(19) 2014/09/11(Thu) 02時半頃
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だから、素敵な物語が好き
[それが記されているものが本であり それ故に、本のたくさん詰まっている棚が 並んでいる書庫は、宝の実のなる木が並ぶ宝の森]
あなたは…何が好きかしら?
[珍しく、その日は饒舌だった 多分、このやり取りも忘れてしまうのだろう それは分かっていても、言葉が溢れ出す]
(20) 2014/09/11(Thu) 02時半頃
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[その問いには何が返って来たか 記憶にも記録にも残っていない問いへの答えは あるのかどうかすらも定かでない]
楽器が弾けるの? 素敵ね
[時々、聴こえてくる音楽が 彼の奏でるものだと聞いて相槌を打つ
物語がひとの糧ならば、音楽は薬 そんなことを教えてくれたのは──誰だったか?
記憶から消えてしまった日々の 忘れ去られた相手との失われた日常 そんな些細なやり取りだっただろうが
言葉を聞いた時のときめきだけは残っている]
(21) 2014/09/11(Thu) 02時半頃
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─室内─
[医師に会えたのは、何処だったろう。 もしかしたら途中、誰かが話し掛けたかもしれない。ぼんやりと歩く青年は、ただ前を見詰めるだけで一切反応を示しはしなかった。]
センセイ。
[白衣の、見慣れた姿を見つければ、何時ものようにそう、呼ぶ。 医師が振り返れば、そこには、泣いていた事がひと目で分かる目元に、能面のような表情。
医師が何事かを言う前に、抱きかかえたそれを。砂色の花を、つい、と。差し出し、言う。]
センセイ、これ。…ズリエル。
[抑揚の無い声。 ただ視線を前に投げるだけのその目は、なにも。 なにも、捉えてはいない。]**
(22) 2014/09/11(Thu) 02時半頃
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[楽師の青年とは他にどんな話をしたか
知る者は全て忘れ きっと、誰も記していない
壁に飾られた絵だけが見ていた 束の間の*出来事*]
(23) 2014/09/11(Thu) 03時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/11(Thu) 03時半頃
お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/11(Thu) 03時半頃
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[紫のスイートピーの…ブーケを… 答える少女>>16の言葉に、少し首を傾げて。]
…ううん、ごめんなさい。 見てないわ。
[申し訳なさそうに、答える。 そもそも、探そうとも思っていなかった。 先生に、花になった彼のことも、聞いていたにもかかわらず。]
でも…あちらには、無かったようよ?
[自分の着た方を示して付け加えるが、それは情報になるのだろうか。]
(24) 2014/09/11(Thu) 10時半頃
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[花嫁衣裳に興味を示した様子の少女の視線を追って。 花に埋もれたままのそれを共に眺める。]
…誰が、誰の為に、捧げたのかしらね。
[何となく、部分的にしろ想像はできるけれど。 そんなことを、ぽつりとつぶやいて。 少女の表情が険しいことに気づけば、そっと尋ねる。]
…こういうのは、嫌い?
[問いに対する答えは得られただろうか。 亡き人を悼む、静かな時間が流れる。
やがて、いくばくかの会話の後に、彼女はその場を後にした。 少女がそこに残ったか、あるいは先に出て行ったか、それは定かではない。]
(25) 2014/09/11(Thu) 10時半頃
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[どこへ向かおうとしていたのだろう。 どこかぼんやりとした思考では、それすらすぐに忘れてしまう。 はらはらと、彼女の後を追うように舞い散る花弁は、静かに廊下に道を作る。
きっと、日向ぼっこの約束をした人は、もういない。 何故だか、そう思った。 それは、中庭で花になった人が、多くいたからかもしれない。 その中に、いた可能性が高いような、漠然とした。
他にも何か、約束していたかしら。 分からない。
気付けば、自室に帰ってきていた。]
(26) 2014/09/11(Thu) 10時半頃
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[花びらに埋もれたベッドに腰掛けて、手慰みにノートを手に取る。 ぱらぱらとめくれば溢れ出す、“記録”。 赤い花で印のつけられた、大切な、記録。 残るページは2ページ。 最初と最後の、“記憶”。]
…放課後の、教室。差し込む夕日。 白い消し後の残る黒板。光を放たない蛍光灯。 あの人と、二人きり。他には、誰もいない。 呼び出したのは、私。応えてしまったのは、あの人。 『綺麗な髪だね。』 触れた指先が、愛しくて、愛しくて。 卒業、間近だった。
(27) 2014/09/11(Thu) 11時頃
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[ぱらぱらとページを繰り、開かれる最後のページ。 記された言葉は…]
勿忘草病が、ばれてしまった。 別れてください。と頭を下げた。 泣きそうな顔をしながら、あの人は。 分かった、その代り、生きてくれ。 そう言いながら、私の髪を撫でてくれた。 ありがとう。 さようなら。
(28) 2014/09/11(Thu) 11時頃
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[きっと、この二つの記憶が消えた時、あの人は自分の中からいなくなるんだろう。 彼女はそう、漠然と思っていた。
そして、あの人がいなくなった自分は、臨むと臨まざるとにかかわらず、そう長くはないとも。 ならば終わりは自分で決めたいと、思う。
そう、決意を決めた時。 彼女の頭の両脇から、まだ固く閉じられた花の芽が1つずつ、静かに顔を出したのだった。**]
(29) 2014/09/11(Thu) 11時頃
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[問いへ金色の妖精は見てないと 首を傾げる様子と指し示し方向を見て>>24]
…そう、ありがとう
[と、だけ返す]
私ではないわね、多分
[ドレスの話題>>25になれば、そう答え]
(30) 2014/09/11(Thu) 19時半頃
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あなたは…お好きなの?
[問いかけには問いで ふんわりとほほ笑みを返して]
ドレスに罪は…ないわ
そこに自分の都合で、勝手に意味を与えて 好き嫌いをいうのは…人間だけ
[それで争うのも、また人間だけ それが人間として「生きている」というのなら 人間とは、どれだけ罪深いものなのだろう
果たせない約束を、いとも容易くして 果たせないのは己なのに、いとも容易く 相手が裏切ったと、記憶を都合よく塗り替え
罪悪など「なかったこと」にできるのだから]
(31) 2014/09/11(Thu) 20時頃
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そうね、嫌いなのは… 「約束」を踏みにじるひと、かしら?
[ドレスを纏う花嫁だけが 相手へ「誓い」をする訳ではない
「誓い」をされた側もまた「誓い」 「誓い」を果たすべき側でもあるのに
それをいとも容易く忘れてしまう
花嫁衣装とはふわりとした姿の影に そんな、鎖や枷も相手丸ごと背負うもの]
(32) 2014/09/11(Thu) 20時頃
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[根づいた雪の女王様も そんな「誓い」の元で身に纏った]
…だから「約束」も嫌い
[彼女はそれになんと答えたか 中庭を去りゆく後ろ姿に、そっと声をかける]
…ご機嫌よう、金色の妖精さん**
(33) 2014/09/11(Thu) 20時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/11(Thu) 21時頃
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ー回想ー
[あなたは好きなのか、と問われれば。>>31 少し、悩んでしまう。]
うーん。 憧れは、あったかな。 でも、好きかって、言われると。
[何か、違う気がして。 そもそも憧れも、ドレスそのものに対する物では無い。 そこに連想される、幸せだとか、そんなものに対するそれで。]
約束…約束、かぁ。
[守りたくても、守れないことも、あるよね、と。 小さく呟いた言葉は、少女にどう聞こえたことか。**]
(34) 2014/09/11(Thu) 21時半頃
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-中庭で-
[駆け寄る男の目の前で、青年は見る見るうちに花に覆われ、包まれ、楽器に絡みつく花々の中で、しかし微かに笑っていて]
―――わかった、おやすみ。
[つぶやいた言葉に>>4:113に掠れた声でそう返す。 花の塊の中にぽつんとアコーディオンが残されていた。]
(35) 2014/09/11(Thu) 22時頃
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─午後─
[今朝の喧騒は既に遠く、容赦無く時計の針は進む。 時間はとめど無く流れ、それは何があっても変わらない。たとえばその朝、誰かが居なくなったとしても。
人の気配も疎らな昼下がりの廊下を、青年は今日も回遊魚のようにうろつく。時折、歩きにくそうに足を引き摺るのは、そこに増えた包帯のせいだろうか。
引っかかるみたいな動作の後、それでも足は止まらない。 ぺたり。ぺたり。 ふいに立ち止まり、何かを確認するようにじっと視線を注ぐ。それは、場所であったり物であったり空間であったり、様々だけれど。
彼が探しているものは、もう、何処にも。]*
(36) 2014/09/11(Thu) 22時半頃
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-昼前、診察室-
[半ば狂気めいてペンを滑らせる。1文字でも多く、彼らがここにいたことを残したくて。
その狂気を引き留めるように小さなノックが響く。>>2]
クリス―――どうしたんだい?
[微笑み診察室へ招き入れると、いつもと違い、彼女はふわりと微笑った。 はにかむように、躊躇いながらもゆっくりと言葉を紡ぐ。 それはいつもの天真爛漫な彼女とは少し、違っていて。]
(37) 2014/09/11(Thu) 23時頃
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―――薬を……?
[それは、小さな決意。>>4]
いいのかい…?そうしたら、君は―――
[思わず聞き返す。
太陽のように笑っていた彼女のほほえみは、今はまるで昨日の夜の月明かりのようで。
ゆっくりと、ゆっくりと、言葉を続ける彼女の横顔はどこか安らかで。]
(38) 2014/09/11(Thu) 23時頃
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―――そうか。
[必死に笑顔を創ろうとして、それは半ば泣き顔のようになっていたかもしれない。]
クリスは、決めたんだね。
[途切れた言葉の隙間をつなぐように、ポットからコーヒーを注ぎ…彼女にも勧める。 その白くくゆる湯気は彼女の金色の絹糸のような髪の毛に触れて消えた。]
(39) 2014/09/11(Thu) 23時頃
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昨日から――みんな次々に咲いてしまって。 サミュエル、マーチェ。ペラジー、セシル。ヤニク。
……クリスもそうなったら、僕は少し寂しいかもしれないな。
[心が疲れていたのだろうか。男はらしくもない言葉を言ってしまった、と少しだけ後悔した。
彼の仕事は、患者たちが安らかに「咲く」のを見守ることなのに。]
(40) 2014/09/11(Thu) 23時頃
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|
[彼女の口から、小さく謝罪の言葉が出る。>>6]
――謝らなくて、いいんだよ。
[去ろうとする彼女に、気の利いた言葉を掛けようとして、口から出た言葉は自分の感傷をさらにはっきり浮かび上がらせるだけで。
出ていく彼女の背を見送るしか、できず。
老医師の言葉が耳の奥で何度もなる。]
だめだな―――
[独り言ち、コーヒーを飲み下した。 いつもよりも、苦く感じた。]
(41) 2014/09/11(Thu) 23時頃
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[穏やかに、ゆっくりと、時が流れる。 それは、いつも通りの日常で、いつもよりほんの少し、静かな日で。 部屋を後にした彼女は、廊下をゆっくりと歩く。 中庭の見える廊下。 色とりどりの、花があふれるその場所。]
…私も、あそこが良いかなぁ。
[ふと、一人ごちた時だったろうか。 ぺたり、ぺたりという、不規則な足音を耳にして、そちらへと視線を向ける。 見やった廊下の先、見知った姿があった。]
シーシャさん。
[どこか、覇気のないその様子に、彼もまた、何かを失ったのだろうか、と。 漠然と。*]
(42) 2014/09/11(Thu) 23時半頃
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-診察室-
[金色の髪の少女が去ってからどれほどたったか。 またドアが開く。]
―――シーシャ。
[泣き腫らし、感情を喪失したような、泣き疲れた子供のような顔で彼は「それ」を差し出す。
砂色の、花弁。たくさんの。]
ズリ、エル。
[おうむ返しにつぶやき、その顔を見る。絶望した、その瞳の奥の深い悲しみに。]
(43) 2014/09/11(Thu) 23時半頃
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[受け取った花をそっと診察室のベッドへ並べる。 一つ一つ、丁寧に。それは、まるで弔いの儀式だ。
そうしてすべてベッドに並べ、その花を見つめながらそっと泣き疲れた青年の頭をなでる。]
―――ありがとう。
[自分が看取れなかった悔しさよりも、この苦しみを彼に背負わせてしまうことが、つらかった。
彼がそこを立ち去るまで、男はずっと彼とズリエルを見つめ続けていた。]**
(44) 2014/09/11(Thu) 23時半頃
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─昼下がりの廊下─
[名前を呼ばれ>>42、いやにゆっくりと振り返る。 声のした方を向いた視線は、その焦点を彼女に結ばずに通り抜ける。暫しの沈黙。 ゴホ、と短い咳の後、翳った瞳に微かに光が灯る。]
────あァ、…クリス…なんか、用?
[ふ、と表情が弛む。 微かに首を傾げて訊いた。声に多少力は無いが、それは何時もの彼と変わらない抑揚で。青年はまた、咳をする。]*
(45) 2014/09/11(Thu) 23時半頃
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|
[振り返る、彼の姿>>45。 一拍おいて、挨拶を返してくる。 一拍は、何だろう。]
んーん。 用ってほどの物は、ないんだけどね。
[そう言って、彼の顔を、じっくりと眺めた。 ここに来て、すぐの頃。 着ていた服に、でかでかと名前を書かれたことがあったかもしれない。 最初こそ、その強引さはショックだったけれど、それも接するうちに苦では無くなっていて。 あぁ、どれほどの救いを、彼から自分は貰っていたのだろう。]
シーシャさん。あのね。
[だから、最初、別れを告げておくつもりだった。 今までのお礼と、近い将来の為の、別れを。 しかし、実際に口から出てきたのは。]
(46) 2014/09/12(Fri) 00時頃
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|
…ねぇ、お外、行かない?
[きらりと瞳を瞬かせ、まるで悪戯の、誘い文句。
中庭なんかじゃない。 外へ、行ってみよう。 本当は外出には手続きやら付き添いやら、色々面倒があるけれど、そんなのを、ぶっちぎって。 行ってみよう、と、誘いをかける。*]
(47) 2014/09/12(Fri) 00時頃
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|
ン?、……
[じっと此方を見詰めるクリスに、なんだろう、と、また首を傾げ。続きを促すが、彼女は直ぐには答えない。>>46 疑問符を浮かべて頭を掻き散らす。ぱさぱさと動く髪の隙間から花弁が舞うが、彼にもう余り気にした様子は無かった。
そうして、たっぷり時間を掛けて青年の顔を見ていた彼女は、言う。 空色の瞳をきらりと輝かせて。>>47]
『 ねぇ、お外、行かない? 』
[外。この、箱の。]
(48) 2014/09/12(Fri) 00時頃
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|
ッそ、…そと、って、『外』? だって、それって…
[珍しく狼狽えた声が出る。 クリスの言葉の意味が、停滞した脳で上手く捉えられない。 無理だろ、そんなの、言おうとして言葉に詰まる。なんで無理だと思うのだろう。どうして。今まで、ずっと、どうして無理だと思っていたのだろう。]
(49) 2014/09/12(Fri) 00時半頃
|
|
[手続きに家族の同意が必要だから? 付添人を用意出来ないから? 誰かに無理だと言われたから? 自分で、無理だと、思い込んでいたから?
そんなの。そんなもの。 そんなものに、なんの意味があったのだろう。
ずっと、焦がれていた、外の世界。 たった一枚、扉の向こうにあるのに。どうして。]
(50) 2014/09/12(Fri) 00時半頃
|
|
────────ッ、行く…っ
[上擦った声は、光を捉えた瞳は。まるきり、子供のそれで。]*
(51) 2014/09/12(Fri) 00時半頃
|
|
[金色の妖精が中庭を去る姿を しばらく、ぼんやり見送った
そよりと風が吹き、花々は揺れ 葉擦れの音がサワサワと鳴り響き 中庭がにわかにざわめいた
散る花弁が風に舞い上がり ふわりと雪のように降り注ぐ
気づけば、日も高くなり ぽっかりと中庭の上に姿を現す]
(52) 2014/09/12(Fri) 02時頃
|
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あら、これは…
[再び、ドレスに視線を移すと 袖の隙間に見える一輪の紫色の花>>4:101]
ここが、真ん中?
[袖口から、そっと抜き取り花を見れば 朝、自室の机の上にあったものと酷似していて 紛うことなきスイトピー
花に埋れたドレスをそっと取った下には 紫色のブーケと、青い花が咲いていた
廊下でぶつかった男がいってた通り>>4:107]
(53) 2014/09/12(Fri) 02時半頃
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青い鳥はこんなに近くにいたのね…
[紫色の花々に囲まれた青い花を見て 口を吐いたのは、そんな言葉
白い箱のような建物の真ん中 鳥籠のように小さな中庭の真ん中で 深い蒼色の花が、風に揺れる
そっと、しゃがんでそれに触れた]
(54) 2014/09/12(Fri) 03時頃
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[それも束の間、左手首に痛みを感じて わずかに顔をしかめる
見ると蔓は伸び、肌に棘が食い込んで 咲き誇る花は一層深く赤くなり 香りが強くなってゆき、さらに蕾が増えてゆく
花開き、根づきたいといわんばかりに
ゆるやかに進んでいたはずだったが 急な変化に首を傾げる
理由はよくわからない ただ、生きるためにそうありたい そんな思いだけが、ここにある**]
(55) 2014/09/12(Fri) 03時頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2014/09/12(Fri) 03時半頃
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[『行くッ!』 その返事>>51に、何だか嬉しくなってしまう。 心が沸き立つような、そんな気分。 それは、ずいぶん久しぶりなような。 心地よい、高揚感。]
うん、行こう、行こう! どこまで行けるか分からないけど、行ってみよう!
[ただひたすらに、楽しかった。 そうと決まれば行動は早い方が良い。 彼を促し、備品室へと駆けてゆく。 紙とペンを拝借して、数枚、メモを用意した。
一枚は、彼の為。 もう一枚は、自分の為。 共に、サナトリウムの名前と住所を、メモしておく。 それと、それぞれの、名前を。]
(56) 2014/09/12(Fri) 09時頃
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はい。これ、持っててね。
[彼の分を、手渡して。 自分の分も、ポケットにしまう。]
あ。着替え…
[唐突に、自分の格好に気づくと、一瞬ためらう。 寝間着ではないとはいえ、あまり外出に向いた格好でもない。 彼は、どうだったろうか。 ふと、問いかけるように、彼を見た。]
(57) 2014/09/12(Fri) 09時頃
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[彼が着替えると言わなければ、そのまま行ってしまおうと。 どちらにせよ、備品室からもう少々、拝借しないといけない物があった。
それから簡単な身支度を終えれば、青年共に、駆け出す。 外へ、外へ。 箱の外の、自由を求め。]
正面扉は、先生が一緒に来てくれないと開けて貰えない。 守衛さん、いるからね。 だから…
[壁、乗り越えようと思うの。 備品室から持ってきた一撒きのロープを示しながら、言う。 帰りのことは、考える必要ない。 正面扉を通ればいいのだから。
ばれたって、怒られたって、構わない。 泣かしちゃったら少し、申し訳ないけど。]
(58) 2014/09/12(Fri) 09時頃
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[建物を囲む壁は、患者が訳も分からず外へ出てしまうことを防ぐこと、あるいは不審者が侵入することを目的としてはいるものの、患者の本気の脱走を防ぐことは想定されていない。 だから、イケると思った。
二階の廊下をぱたぱたと進み、建物の裏手に当たる窓へとたどり着く。 からからと窓を開けて、窓枠にロープを縛り付けた。
ロープを縛るなんて作業をしたことがない彼女。 結んだロープはいささか緩い。 それは見ただけでも明らかなのだが、それを固く縛り付けることは、非力な彼女では難しいようで。]
うーん。 どうしようかなぁ。
[結び目を見つめ、彼女はぽつんと一人ごちた。*]
(59) 2014/09/12(Fri) 09時頃
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『行こう!』
[笑って駆け出すクリスに促されるまま走り出す。>>56 着替えなんてどうでも良かったから、二人とも薄い格好そのままで。幸い、今は夏の終わり。日が落ちたって凍える程じゃない。
ちゃんとした靴を持ってないのに気付いた時は、はじめてちょっと困ったけれど。
名前と住所の記されたメモ、ロープ。計画していたかのように手際良く準備を進める彼女に、すこし呆気にとられてしまう。
壁、乗り越えようと思うの。 真剣にそう言われた時には、さすがに笑ってしまった。美しい金糸の髪の、妖精なんて言われた彼女は、どうやら実際、随分やんちゃらしい。]
(60) 2014/09/12(Fri) 12時頃
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──っぶ、ッはは…! すげぇな、オマエ。サイコーだよ。
[くっくっと堪え切れずに笑って、彼女が窓枠に結んだロープを手に取る。貸して、こっちの方がいい。 言いながら手際良くロープを結び直した。ああ、これは始めてじゃないんだな。ちらりと思考する。映像すら忘れていても、結び目を作る手順をちゃんと身体が覚えている。]
オレが先。下に降りたら足場になってやる。 塀もあの高さなら担けば登れんだろ。…行こう。
[滑んねえよう気ぃつけろよ、言ってロープを握り軽々と窓枠を越える。長身の青年には大した高さではない。一瞬だけ、恐怖に近い興奮。縄一本で、壁を伝って降りる。
見回しても周囲に人の気配は無い。クリスが無事に降りたなら、今度は彼女を塀の上に押し上げる作業。それを越えたら、やっと。そこは、焦がれ続けた、外の世界だ。]**
(61) 2014/09/12(Fri) 12時頃
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[塀の上に並んで腰掛け、せーの、で下に飛び降りる。 着地の瞬間、足の裏に衝撃。塞がっただけの傷に響いて、口内でぐ、と小さく呻く。 けれど、隣でクリスが此方を向く気配に、二人で顔を見合わせた。
そうっと首を巡らす。気付かれた気配も、誰かが追ってくる声もしない。成功?成功。唇の動きだけで言い合って、それから、堪え切れずにひとしきり笑った。]
クリス、クリス、こっち。 海。見に行こう。
[彼女が此方を向いたなら、急かすみたいに手を取って。 頭の中、ここに来た時の道を記憶の中から引っ張り出す。
海。丘を降って。その向こう。 歩いて行くには遠いけれど、高台だから見えるのだ。]**
(62) 2014/09/12(Fri) 14時半頃
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[まるで慣れた作業の様に、瞬く間にロープを結びなおす手>>61を、少し目を丸くして見つめ。 先に行く、という彼に頷き、見送った後、窓から外へと降りる。
胸がわくわくするような気持。 何故だろう、心のどこかが覚えている。
ややおぼつかないながらも、地面に下りれば、先に下りた青年を見上げ、満面の笑みを浮かべた。 その手を借りて、塀へとよじ登る。]
わ…ぁ…!
[窓越しにだって、見えなかったわけではない。 しかし、ほんの少し、視点が変わっただけなのに。 すぅ、と胸のすくような、この景色は。 彼女の胸に、名状しがたい感動を呼び起こす。]
(63) 2014/09/12(Fri) 20時頃
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せーの!
[共に声を掛け合い、塀から飛び降りる>>62。 押し殺したような呻きが隣から聞こえれば、はっとそちらを窺った。
大丈夫?
こちらを振り向いた彼に、唇だけで、問いかけて。 是の返事が返ってくれば、そうっと辺りを窺った。 壁越しの気配に、変化はない。
成功?成功!
唇の動きだけで、言い合って。]
ふふ…っあははっ
[何だかおかしくなってしまって、笑いが零れる。]
(64) 2014/09/12(Fri) 20時頃
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[呼ばう声に振り返れば、彼は素敵な提案をしてくれる。]
海…
[そっと、繰り返し。]
うん…!行こう…!
[取られた手をそのままに、たっと駆け出す。 後になり、先になりしながら、暫く駆けて。 程なくして見える、蒼く輝く水平線。]
あぁ…
[嘆息。 これほどに、自由を感じた瞬間が、あったろうか。]
(65) 2014/09/12(Fri) 20時頃
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――… 夏が過ぎ 風あざみ 誰のあこがれに さまよう 青空に 残された 私の心は 夏模様 …――
[のびのびとした気持ちで口ずさんだ歌は、もういつ覚えた物か、分からない。 けれど、何だかもう、ひたすらに気持ちよくて。 まるで遊び疲れた子供の様に、草原に足を投げ出すようにして座る。
そんな彼女の頭の脇で、白い花弁がそっと花開いた。]
(66) 2014/09/12(Fri) 20時頃
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ねーぇ、シーシャさん。
[傍らの彼は、立っていただろうか、座っていただろうか。 どちらにせよ自分より高い位置にあるその顔を、見上げて。]
こうしてると、何だか色んな事、馬鹿らしくなっちゃうね。
[ふふ、と笑って。 ほんのりと潮の香りのする風を、胸いっぱいに吸い込む。 彼女の頭に咲いた白い花が、すぅ、と閉じて、そのまま萎れた。 宿主の知らぬ間に、花の後に実が膨らむ。 ぽと、と落ちたその二つの実を、無意識に伸びた手が、捉えた。 両手に収まったリンゴは、黄金色。]
…食べるー?
[その実の意味を、既に知らない彼女は、片方を彼に差し出して、無邪気に笑った。**]
(67) 2014/09/12(Fri) 20時半頃
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[歌声が、聴こえる。
草原に足を投げ出して座るクリスが、心地良さそうに唄う傍らで、青年は海を眺めて立ち尽くしていた。
『外に出たい』、『海が見たい』。この数年、何度も願ったことではあったけれど。こうもあっさりと現実になったその風景に、呆然と、見惚れていた。]
こんな、簡単な事、だったんだな……
[言って、輝く水平線から視線を上げた。目を射抜くような夏の蒼穹。中庭の切り取られた空よりも、ずっと広い。]
『こうしてると、何だか色んな事、馬鹿らしくなっちゃうね。』
[彼女の声に振り向いた。>>67 隣にどさりと腰を下ろして、ん、と伸びをする。酷く晴れがましいような、どこか心許ないような。不思議な気持ちで、頷いた。]
そうだな……、なんか、ほんと。 馬鹿みてぇだ。
[小さく笑った表情は、歳相応のそれで。 鬱屈した翳を背負い込んだ色をしていた瞳は、今日の空のように晴れていた。]
(68) 2014/09/12(Fri) 22時頃
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[そうして暫く隣り合って座っていた。 けれど、心地良いその時間は簡単に終わりを告げる。
無邪気に、そう、無邪気に笑った彼女が差し出したのは。彼女自身が手放すことを拒み続けた、『彼女自身』が実を結んだもので。>>67
金色の林檎と、その笑顔を、青年は瞼の裏に密やかに仕舞い込んだ。]
…オレはもう、じゅうぶん貰ったから。
[華奢な両手に包まれた、大切な大切な思い出。日ごと降り積もった分は、しっかりと自分の中に刻み付けた。だから、その結晶は最後まで彼女が大切に抱えていたらいいと。]
──…帰ろう、クリス。
[寂しげに笑って、また、彼女の手を引いた。]
(69) 2014/09/12(Fri) 22時半頃
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─丘の上の白い箱─
[日もとっぷりと暮れた頃。 正面玄関から帰った二人に、医師やスタッフはどう反応しただろう。
もしかしたら騒ぎになっていたかもしれないし、戻って初めて気付いたかもしれない。 スティーブン医師は、どうだろう。穏やかなその人は、窘めこそすれど、怒りはしなかったかもしれないが(だが守衛は大変ご立腹だった)。
けれど、謝罪を繰り返しながらも、きっと二人は笑っていた。
そうして、その日を境に。 青年の紅鳶色の瞳から、虚ろな影は姿を消したのだった。]*
(70) 2014/09/12(Fri) 22時半頃
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─書庫─
なァ、なに、読んでんの。
[並べられた書棚の隙間。ひっそりと佇む赤いケープの妖精じみた少女を、上から覗き込んででそろりと声を掛ける。
読書家である彼女とは、書庫で行き会うことも度々あったが。いつも挨拶程度で、そういえば大した会話をしたことがない。 並べられた本たちの中身はその大半を覚えてしまっていたから、ここの所は書庫から足も遠退いていた。
彼女は問いに答えてくれただろうか。 声が返れば、ふぅん、と短く頷く。そして、彼女の目線のだいぶうえにある棚の、一番端に並んだ一冊に指を引っ掛ける。]
オレのお勧めはコレ。
[赤い背表紙のそれを引き出して、机の端に置いた。 少女の視線がそれを追うのを確認して、青年の口許が少しだけ笑みを象る。
きっと気に入るよ。 言い残して、じゃあな、と片手を上げた。 これも誰かの“日記”だろうか。布張りの赤い表紙には、金の文字が走る。彼女の目は、連なったスペルを読み取っただろうか。]*
(71) 2014/09/12(Fri) 23時頃
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『 SNEDRONNINGEN 』
(72) 2014/09/12(Fri) 23時頃
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─食堂─
[決まった時間、いつも通り。 漂う食欲をそそる香りに、誘われた患者やスタッフが数名、行儀良く並んでいる。
ギ、と軋むドアを押して、青年はその空間に入った。列には混じらず適当な椅子に腰掛け、暫しそれを眺めやる。 声を掛けられれば素直に挨拶を返した。
やがて、人も疎らになった頃にスープの皿のみ受け取った。 席に戻り、行儀良く口に運ぶ。味を「感じる」ことが出来ないのは、忘れているというよりは脳の中を圧迫されているから、らしい。匂いは分かる。
たっぷり時間を掛けて良い匂いのする無味のスープを流し込み、トレイを持って席を立つ。 ごちそうさま。食器の返却口付近に居た、賄いの女性に声を掛けた。もう長いこと、ここで食事を作ってくれている人だ。]
……美味しかった。
[ぽつん、と落として食堂を後にする。めずらしい、と目を瞬く女性の姿だけが、後に残った。]*
(73) 2014/09/12(Fri) 23時頃
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─備品室─
[それから、食堂から程近い備品室へと足を向けた。 どうせ今日も管理人は居ない。少し前に腰を痛めて、最近じゃ週に2、3日しか来ないのだ。
雑然とした埃っぽい部屋の中、書庫で読んだ本に記載された工具を捜していると、床の上放置されたミシンケースと出会う。 いつか誰かがそうしたように、傍らにしゃがみ込んだ。そうと瞼を伏せると、隣に大きな誰かが座ってるみたいな気分になって。]
……『法蓮草を育てる月』、
[呟いた薄い唇は、緩やかな弧を描く。あの日、屋上で舞った、花びらと色とりどりの付箋。 コンクリートの上に残った一枚は、指で掬うと簡単に風に乗っていってしまった。 瞼の奥に焼き付いた、子供みたいだった大きな男。もう一度思い描いてみた彼の表情は、もう、怯えてはいない。]
…もっと話せば良かったな。
[次に会ったら、聞かせて。 言って、立ち上がる。ガチャリと手にした工具が鳴った。貸出受け付けの上の、飴玉をポケットに押し込んで。
歩き出した後ろでは、ドアの閉まる音。]*
(74) 2014/09/12(Fri) 23時半頃
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[こんなに簡単なことだったのか、と拍子抜けしたような調子の彼に>>68。]
多分、人間ってねぇ。 その気になれば、大体の事、何でもできちゃうんだよ。
[生きてさえいれば。 そう、呟いた言葉は、誰に向けてのものだったろうか。
ちらりと見やった彼の瞳が、何だか澄んで見えた気がして。 良かったなぁ、と、無言の内に思った。
差し出したリンゴを、断られれば、ほんの少し、首をかしげて。]
そうぉ?
[答え、手元のリンゴを一口齧る。 何だか、少し、苦いような気のするそれは…失った記憶の、真の想いを示していたのかもしれなかった。 彼女自身には、分からぬことであるが。]
(75) 2014/09/12(Fri) 23時半頃
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[帰ろう、と手を引く彼に、大人しく着いて行きながら。 一瞬見せた寂しげな表情は、何が理由だろう、とぼんやり考えた。
地平線の向こうから吹いてくる風が、彼女の髪を通り抜け、色とりどりの花びらを散らす。 けれど… 思い出は散っても、そこにあった気持ちだけは、胸の内から消えることは、きっと無い。
出た記録の無い二人が、正面の扉に現れて一番驚いたのは守衛のおじさんだったかもしれなかった。 二人が消えたことで、あまり大きな騒ぎが起こったわけではなかったけれど、気付いていた人もきっといて。 心配をかけたことを、二人で謝るけれど、後悔は全くなかった。]
(76) 2014/09/12(Fri) 23時半頃
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─中庭─
[備品室を出たその足で、中庭に向かう。
ぶらぶらと散歩をすると、中央付近の木の傍に何かが見える。 背の低い木に引っ掛けられた、見覚えのあるドレス。 紫のブーケ。 纏い付く花と、これも見覚えのある絵が、一枚。
その前で立ち止まる。 目を細めて見詰めた。視線を横に逸らすと、向かい合うみたいに設置されたベンチの傍にも、沢山の花。草の上に置かれたアコーディオンは、抱き込まれるみたいに花に埋れている。
瞼を伏せた。 毎朝聴こえたあの歌声と喧騒が、蘇ってくる。 楽器の音。はしゃぐ少女の声。何度も見せて貰った、お気に入りの絵。噛み合わない会話の応酬さえも。]
(77) 2014/09/12(Fri) 23時半頃
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──…結婚式、みたいだな。
[穏やかな笑みで。 指先でつい、とアコーディオンを撫でた。その近くに埋れた、ギターの弦を拾い上げる。 あの、屋上に始めて登った日。 鳴っていた最後の曲は、誰の為のものだろう。サーカスの独り占め。少しだけ、その『誰か』を羨ましいと思った。]
Parsley, sage, rosemary and thyme…
[弦を持って、踵を返し、小さく口ずさむ。 花を纏う青年は、もう吐息すらその香りで満たされて。]
…あと、ちょっと。
[日の当たるその場所を、後にした。]*
(78) 2014/09/12(Fri) 23時半頃
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―2F・2××号室─
[自室を通り過ぎて、角を曲がってちょっと行った先。 ひとつの部屋の前に立ち、軽いノックの音を響かせる。
コン。 コン、…コン。
特徴的なリズム。 「あいてる」、ちょうどそう返ってくる筈のタイミングて、ドアを開けた。]
…よォ。遅くなって、ごめん。
[整えられた部屋の中。そこにまだ彼は『居た』だろうか。 ベッドの傍らには、主を失くした赤いトラスト。誰かが触れたのだろうか、埃を払った跡が残る。
ベッドに腰掛け、備品室から拝借した工具を膝に置く。 ギターを持ち上げ、改めて埃を払った。ゴホ。短い咳の合間に、青年の唇から白い花が零れ落ちる。]
(79) 2014/09/12(Fri) 23時半頃
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ああ、心配すんなよ。 やったことはねえけど、やり方はちゃんとベンキョウしてきたから。 後はオマエの見様見真似、だけどな。
[書庫で読んだギターのメンテナンス方法は、実際やってみると思う程簡単では無い。 四苦八苦しながら弦を替える。きっとそれは、誰かが遣り残した事でもあるから。]
…っと。こんなモン、か。
[どうにか張り替えた弦を、爪弾いてみる。アンプの無いそれは、キュ、と掠れた音を出す。弾き方なんて知らないから、元通りに傍らに置き直してやる。]
…………また。
[また、弾いてくれよ。
声は掠れて、一人きりの部屋を彷徨う。やがて、青年は夕暮れに染まる部屋の中から、廊下の暗がりへと溶けて、消えた。]*
(80) 2014/09/12(Fri) 23時半頃
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[その日は、秋の始まりを思わせるような、酷く高く、突き抜けるような晴天だった。
屋上から、ぱらぱらと沢山の花が降る。 背の高い、痩せたその青年は、足元に積まれた幾つものドライフラワーを手に取って。 ひとつひとつ、確かめるようにしながら、それを階下の地面へと落としていった。
膨大な量のそれは、彼の自室から運ばれたもの。彼が今まで出会い、別れてきた患者たちの一部だったもの。 最後の一束を落とすと。青年は、強く吹いた風に煽られるのも気にせずに。目の前のフェンスを乗り越えた。]
(81) 2014/09/13(Sat) 00時頃
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────あー…、来ちゃったか。 そんな気はしてた、けどさ。
[開いた屋上の扉に、視線を向ける。 フェンスの向こうに立った青年は、空とコンクリートの境目ぎりぎりに足をかけていて。 網目を掴む指だけが、その身体を支えている。]
見てよ、コレ。 羽根みたいだろ。
[笑って広げた両腕は、白い花にびっしりと覆われて。首に、肩に、肩甲骨に、茎が、花弁が。纏い付いている。]
……なぁ、センセイ。覚えてる? オレが初めてここに来た日の事。仲間に置き去りにされたんだって、怖くて、心細くて、すげぇ暴れたよな、オレ。 センセイは爪立てても、もがいても、ずっと頭撫でてくれてさ…
[でも、と声が続ける。 少しだけ、滲んだ声。]
(82) 2014/09/13(Sat) 00時頃
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今朝。そん時の事、思い出そうとして。 センセイの顔が、──どうしても、思い出せなかった。それだけじゃない。 今まで、『視』たモンだけは忘れなかったのにな。…どんどん、無くなってる。
[青年は、フェンスの向こうでなおも笑う。 寂しそうに。哀しそうに。眼下の地面に降り注いだ、たくさんの花たちに視線をやって。]
忘れるのは。ずっと、嫌だった。それは、なんか、すげえ悪いことだって思ってた。 でも、クリスと一緒に外に出て、海見て。 オレはその時、初めて思ったんだ。ここに帰りたいって。終わるんなら、ここがいいって。 …何の事はねえよな。オレが、さみしかったから、
[零れた雫が、頬を伝って。白い風が、花弁と一緒に、浚っていく。 全て。すべて。]
忘れなければ、ずっと一緒だから。──手放したくなかった、だけだったんだ。みんなを。
(83) 2014/09/13(Sat) 00時頃
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[涙で滲んだ視界では、医師の表情はよく見えなかった。 でも、それでいい、と思う。それがいい。 この人が悲しむ顔は、あんまり、見たくないのだ。]
最後まで、こんなんで。ごめん。 それでもやっぱり、オレは。アイツらを忘れんのは、無理だから。──だから、今日で、『シーシャ』は終わり。
[青年は笑って、そして。 その手を離す。両足が、地面を蹴って──]
(84) 2014/09/13(Sat) 00時頃
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[その日の深夜…ひどく、穏やかな気分で彼女は、一人廊下を歩く。 なんだかまるで、重たい荷物を全部おろしてしまったような。 それは酷く優しくて、心地よい、倦怠感に似た何かだった。
何かに誘われるようにして、中庭へと歩み出て。 ちりり、と左手に痛みを覚え、軽く持ち上げ目をやる。]
あら?
[その薬指に巻きつくように、緑の茎が姿を現していた。 その伸びた先に開く、紫の花。 その名を、シオン。]
あら、あら、あら。
[彼女は笑みを浮かべた。]
(85) 2014/09/13(Sat) 00時頃
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[それは、彼女がずっとずっと、望み続けた物だった。 望んで望んで、手に入らなかった物だった。
左手をかざすようにして、くるくると舞うように、四角い空を見上げる。 月明かりが、優しく彼女を包み込む。]
すてき。すてき。
[ざぁ、と吹きこんだ風が、彼女の髪を撫でる。
かつてその髪を撫でた手を かつて笑いかけてくれた顔を かつてその唇が紡いだ誓いを 過ごした時間を 交わした想いを 全て、全て、忘れてしまったけれど。]
(86) 2014/09/13(Sat) 00時頃
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私、今、幸せよ!
[彼女は笑った。 得られなかった誓いの指輪を愛でながら。
記憶が、思い出が、頭から消えてしまっても。 そこに感じた思いは、幸福は、心がきっと覚えている。
月明かりの下、くるり、回った拍子にスカートが風を孕んで膨らんだ。
ざぁっと風が彼女を包む。 ぶわりと舞い上がった花びらに、その姿が包まれて。
錦の風が通り過ぎた後、中庭の片隅に遺されていたのは、 枝に蔦を絡みつかせた、林檎の若木。 傍らに、控えめな紫の花をわずかに添えて…**]
(87) 2014/09/13(Sat) 00時頃
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センセイ、────ずっと、ありがとう。
[ずっと言えなかった言葉を、口にした。]*
(88) 2014/09/13(Sat) 00時頃
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