303 突然キャラソンを歌い出す村4
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[否。]
(134) 2020/01/13(Mon) 02時半頃
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[墜ちていく天使もだ>>122。 それに気付けば、一もニもなく急降下して受け止めようと先回る。 両腕広げることすら間に合わず、身体で受け止めるようなかたちになったが、どうにか捕まえて夜の街にふたりで落ちる。
もはや月も傾き、とうに深夜と言って差し支えない時間。 通行人も少ない中、こちらを気にする人間もいない。]
(135) 2020/01/13(Mon) 02時半頃
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ちょっ、と、なに、どしたの。
[直後、キラの激しく嘔吐きだすのを聞けば>>130驚きに目を見開くも、せめて助けになればと虹翼のあいだ、うすい背に手を伸ばす。 上下に擦れど、何かが出るわけでも落ち着くわけでもなさそうだ。 砂が飛び込むさまを直視しなかったのもあって、困惑が思考いっぱいに広がる。
混乱は正常な思考を妨げる。 本来はこのタイミングで気づくべきだったのだ。 悪魔は砂と散った。羽ひとつ残して消えた。]
(136) 2020/01/13(Mon) 03時頃
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[頭痛がやまない*]
(137) 2020/01/13(Mon) 03時頃
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[>>139嘔吐き苦しむのが落ち着くまで、隣に付き従った。 この状態の友をひとり置いて動けるやつは天使の中にはいないんじゃなかろうか。 お友達。フルコース。耳慣れない単語がキラの口をついても、追求することはない。 自分が倒れそうになっていたくせ、他人の調子のほうが気にかかるし、快復するまでは仔細も聞かない。 学園生徒曰く誤解されがちだが、男はどこまでも天使の心根をしていた。]
(141) 2020/01/13(Mon) 04時頃
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[虹色のスタンドマイクが、イースターと呼ばれる。 ずいぶん派手にされて、と同情めいた気持ちになるも、次の瞬間ずきんと響いた頭痛に邪魔され霧散する。 ――冷えた薄青が、こちらを見ていた>>140。 頭の裏に心臓が出来たみたいに、ずくずくと脈打つ。
天使の歌が、広がる。]
(142) 2020/01/13(Mon) 04時頃
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ジェルマンは、キランディの歌を、その耳で受け止める。
2020/01/13(Mon) 04時頃
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[それから。 空が白み、濃紺が冬の空色に明けようとも。
玄門瑠依の――ジェルマンの姿はファミリーマンションに戻らず。 ましてや、翌朝登校するヨーランダの傍にも、花の香りひとつ届かない**]
(143) 2020/01/13(Mon) 04時頃
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[上空の堕天使と、この友の二人に>>140。 福音の届けられる範囲を聞けば、無意識に視線を上に向けた。 黒い双翼を宿していたはずの堕天使が、片側を白に染め替えている。 まさか。目を見開くも、それを問う暇もなく、歌が聞こえる>>153。]
……――
[歌声に、耳を傾ける。 聞いてしまった。その詞がかの地、天の高くを謳っていると思えてしまったために。]
(160) 2020/01/13(Mon) 13時頃
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な、
[背中に鉛をくくられたように、ずんと重みがのしかかる。 暗示だ、と気づいたところでもう遅い。 耳は音を捉え、福音は拡散され、力を強めている。 同じ天使から紡がれたものとはいえ、おいそれと逆らえる権能ではなかった。 友の隣に付き添い地に膝をついていた、その姿勢のまま身動きが取れなくなる。]
(どうして)
[口を動かすこともにわかには叶わず、問いは音にならない。 ひどく冷たい薄青の視線が、脳裏に蘇る。]
(161) 2020/01/13(Mon) 13時頃
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[何かが、どこかで、間違ったのか。 もしくは、最初から。
急に友の姿が遠くなったような錯覚。 続いていた頭痛の意味が、いまさらわかった気がした*]
(162) 2020/01/13(Mon) 13時半頃
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[深く頭を垂れていれば、キラの表情>>163は見えない。 けれど影の動きや感覚で、視線を逸らされたことはわかった。 隣にあった身体が、離れていく>>166。 後ろめたさでの振る舞いなどではない、無関心の行為。 そう悟ったとき、頭の中で何かがふっと切れた気がした。 ひどかった頭痛も遠くなる。同時に、天使ジェルマンの意識も遠くなる。
暗示の根は、肉体の意識という柵が失われれば容易く自身の奥まで伸びてくる。 この身は審判を待つ信者だ。信ずるべきは歌の主。 空に飛び上がるさま>>168を、はっと顔を上げ縋るような目で追った*]
(169) 2020/01/13(Mon) 14時頃
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[天使ジェルマンは、天使キランディに信を置いていた。 天使同士、仕事は違えど過ちは犯さないと思っていて。 軽口を叩き合う仲で、楽しくやっていると思っていた。
その実、天使ジェルマンは天使キランディのことを何も知らない。 知ろうとも思っていなかった。過去の詮索よりも現在の共有ばかりを重視して、享楽的に過ごしていた。 それが仇となるとは、欠片も思わずに。]
(178) 2020/01/13(Mon) 15時半頃
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[キラの歌った詩がこれほどまでに影響しているのは、様々な不運が重なった結果だ。 保健室での堕天使とのやり取り。回復のためにエーテルを消費。自身の権能に振り回されて、摩耗し。 疑いも知らず信じていた友が、今まさに離れていこうとしていて。 普段であれば、否、どれかひとつでも条件が欠ければ、あの堕天使のように抗い、得物などなくとも身体で当たりに行って交戦の意思を見せたかもしれない。目を覚ませと叫んだかもしれない。
なのに今は。 かけられた暗示に身を任せるように、ふらり、タールの足跡を追っていく*]
(179) 2020/01/13(Mon) 15時半頃
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[翻る黒刃>>189。 燃えるエーテルの気配に気付けば、朦朧としたままに地を蹴った。
虹の天使に向かう刃。 彼と刃の間に、この身を滑り込ませる。 炎に焼かれようと構わない、といった様子で立ち向かうのは、深層意識に宿る警護兵の本能だったかもしれない*]
(190) 2020/01/13(Mon) 16時半頃
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[エーテル体を、魔の黒炎が裂いた>>212。 腹部に呑み込まれた刀身は、じくりと傷口を蝕んで消える。]
ぁ"――……?
[喉の潰れるような音。疑問のかたちに音尾があがる。 どうして。何が起きてる?]
(216) 2020/01/13(Mon) 19時半頃
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[エーテル体は、つまるところ精神体だ。 意識を失い、暗示の権能で動いていた木偶人形は、精神を斬られるという荒療治で偶然にも叩き起こされる。 虚ろだった視線が僅かに光を取り戻してぶれた。
が、暗示が解かれたわけでもない上に、傷口から闇に侵食されエーテルをほろほろと零し続けるせいで、刹那戻ってきた意識も虚ろ。 奇しくも、天使の身体を守り、堕天使の一撃を受けた状況。 腹を押さえ数歩後ずさるも、つくべき相手は見誤ったまま。]
(217) 2020/01/13(Mon) 19時半頃
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(候補、生……?)
[そこに、命より優先するべきフレーズが耳を打つ。 ふいに、先程目のあった、さめた薄青>>140が思考を掠めた。 あの瞬間は、痛みが勝ってまともに見ることなど叶わなかったが。 思い返せばあのいろは、穏やかに微笑む、周りから愛される、心やさしい少女と、おなじいろ。]
(218) 2020/01/13(Mon) 19時半頃
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ッ……!
[激情。 精神を喰らうための歌声>>209>>210が聞こえても、腹の傷を自らの手で抉り無理矢理意識をとどめた。 自身に直接向けられた歌でないからか、はじめに聞いたときほど身体を"持っていかれる"感覚はない。 堕天使を喰らおうとする友の後ろから、怒りと審尋を込めた視線を向ける*]
(219) 2020/01/13(Mon) 19時半頃
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……最悪な寝起きだよ。
[>>222絞り出した声は低かった。 改めて見た瞳は、氷のように冷たい。 ああ、候補生の瞳はこれから来る春を思わせるのに、この友のいろは、極寒の氷原だ。 感情の乗らない顔が、刺さった。 まるで知らない男があいつの下手な真似をしているみたいで、癇に障る。]
ヨーランダに何かしたのか。
[問う。それだけで答えが返るとは思わない。]
(227) 2020/01/13(Mon) 20時頃
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・・・・・ ――答えろ、キランディ。
[普段けして呼ぶことのない名を添えれば、反応はどうか*]
(230) 2020/01/13(Mon) 20時頃
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どうだろうも何も。 あの歌の力ひとつトバしてくれるだけで、喋る以上の元気も出るんだけど?
[>>231それは叶わぬ願いだろうということくらいはわかる。 そうするつもりがあるなら、堕天使に相対するに当たって、こちらを足止めする必要はないはずだ。 悪魔も堕天使もいちいち癇に障る。行動のひとつひとつが嫌いだ。 その堕天使を深淵に落とすのを、オレはきっと止めなかった。]
電話ね。
[一笑に付す。 それでそんな変化が起きるなら、剣はいらない。]
(235) 2020/01/13(Mon) 21時頃
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[が、"名前"を呼んだ瞬間、変化があった>>232。 薄青が赤みを帯びる。見慣れた藤色が瞳に灯った。
僅かに安堵する。そこにいるのは、天使の姿に見えた。 首に触れ、腹を見。そうしている友に、改めて質問を重ねようとしたところで。]
な……、え。
[天使は唐突に手を食った>>233。 喉奥を圧迫して、嘔吐きだす。 先程の様子が思い起こされ――そして、"中にいる何か"を吐こうとしているのかと予想する。]
(236) 2020/01/13(Mon) 21時頃
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……それ、吐かないと話せないヤツ?
[しかし、一向に生理的な分泌物以外が出てくる様子はない。 繰り返し喉を虐めるのを見下ろしながら、静かに聞いた。 案外、友人が目の前で嘔吐しようとしているのは見ていてつらい。 "キランディの中には何かがある"それだけでも、情報としては大きい*]
(237) 2020/01/13(Mon) 21時頃
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……はぁ。
[結局答えないのかよ、というのは飲み込んだ。 吐かなければ話せないのか、と聞いて、答えが返らないなら、肯定と受け止めるだけだ。
しかし哀しいかな、今こうしてキラの方を見、言葉交わす程度で精一杯なのだが、どう運べというのか。 意識を落とされた堕天。悪魔と対峙するのに力を借りた恩はあるので、意識のない間くらい、運ぶのはやぶさかでなく、曖昧に返事はした。]
(239) 2020/01/13(Mon) 21時半頃
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[朋友は、疲れたように笑っていた>>240。 こんなにも知った顔なのに、やはりどこか遠い存在になってしまったような気がする。 謝っといてくれ? 戻せそうにない? 昏睡させておいてなかなか身勝手な言い分に、どう言葉を返してやるか探しているうち。]
ッ、おい!
[去りゆく背に声を上げても、歌の力は解けない。 イースターを持っていくのも、止められなかった。]
(241) 2020/01/13(Mon) 22時頃
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ああ、クソ、
[背中が離れていく。 傷を抉りエーテルを垂れ流しでようやく立っているようじゃ、追うにも追えない。 暗示ではなく、精神消耗のしすぎで倒れそうだ。
重い足をどうにか、数歩。 キラ自身の頼みだからか、何とか動いてくれた。]
(242) 2020/01/13(Mon) 22時頃
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重、
[意識のない男>>215の身体を抱きかかえ、無理矢理翼を開く。 まったく、どこへ運べというのか。 聖愛のマンションに戻ることも考えたが、流石にヨーランダに手を出しかけた堕天使を匿うのに場所を借りるのは憚られた。 結局、ふらりふらりと夜の街を飛び、途中で力尽きる。
家出天使はこうして生まれた*]
(243) 2020/01/13(Mon) 22時頃
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――夜明け前――
[堕天使を抱えて夜の街に飛び立つ。 しばらくして、身体が軽くなる感覚があった。 暗示の権能の影響が消えたらしい。 とはいえそれで腹の傷が治るわけでもなく、じくじくと痛むのを耐えながら飛んでいた。
せめて、せめて回復に向いた場所まで。 無意識的に自然物を求めながら彷徨うも、今や人の暮らしの中にはコンクリートの建物ばかり。 吸い寄せられるように辿り着いたのは、天獄学園の中庭に併設された、小さな植物園。 生物の授業で使われる他、昼休みのお弁当スポットにも人気の場所だ。]
(254) 2020/01/14(Tue) 00時頃
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[そうとは知らないまま、薄れかけた意識でふらり、ふらり、落ちていく。 植物園隅の一区画で、崩折れるように力尽きた。 倒れるように眠っている、来園者。 加えて花のない区画にも関わらず、花の香りがすることに気づく生徒はいるだろうか**]
(255) 2020/01/14(Tue) 00時頃
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[朝が来る頃には、差し込む陽光と草木のエネルギーを受け取り、エーテル体が微かに光を纏っている。 しかし、植物園という明るい場所柄、その光は漂う花の香りより目立ちにくい**]
(257) 2020/01/14(Tue) 00時頃
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