ふひゃ、curanさんっ！はい！
泣くのはもうばっちりです！
折角おねーさんに大人メイクしてもらったのに、泣けませんよ、ね。えへ。

ありがとうは、その、私のほうが……！

あとっ、ハンカチ！ありがとうございました！
その、衣装さんが即綺麗にしてくれたので！お返しします！
[ぺこっと頭を下げてハンカチ差出し]

…でもアナタ泣きそうだし。
こういう映画ってまだ泣かせどころあるでしょ。
だからそれ、持ってていいわ。

演技に関してはアナタの方が上でしょ？
上手く高め合えたのか、経験不足の私にはよくわからないけど。
ありがと。
アナタの相手役でよかったって思ってるわ。

…アイドルとしては、微妙な評価だけどね？

メイクさん、メイクはいいんだけど髪やってもらっていいかしら。
白夜暴れたりするから、グチャグチャ。

ああ、でももっとあそこは抵抗するべきだったかも…。
…メモ書きしてある表現、全然出来てないわね私。
はあ。

[聞こえぬようにブツブツ。]

……あ、ありがと、ございます……えへ。
演技なんて、その、私は芸暦も浅いしまだまだで！でも……演じるの、楽しいなって、思ってて。
できたら映画やドラマのお仕事増えたらいいなー、なんて。
私も、curanさんと演じる事ができて、気持ちよくて楽しくて、幸せです。

あ、アイドルも頑張りますから！頑張ってますからね！

これがヒットしたら、確実に増えるんじゃない？
アナタの世間でのイメージと今回のキャラクター性、真逆でしょ？
ギャップって人の心理を掴みやすいものなの。
…増えるといいわね、お仕事。

私は…、まだ白夜が抜けきってないみたい。
楽しかったし、やりがいはあったけど。
生きていたかったわ、アナタ……いえ、萌花と。

こうして晃が生きて戦う姿を見るのも辛いわね。

増える……えへ、増えるといいなあ。
でも増えたら、きっとそれはcuranさんと白夜君のお陰です！

ん、私も……もうちょっと、あのままでいたかった、かな。
えへへ……う、じわってきた、だめだメイクがっ！

……生きて戦う、互いが命を懸けてぶつかり合う、カッコいいけど切ないですよね。
特に白夜君は、烏丸君と親友ですし。

どうかしら、私も白夜も関係ないんじゃない？
アナタにとっての私や萌花にとっての白夜はフレーバー要素。
私達のおかげ、とは程遠いわ。
アナタの仕事が増えたなら、それはあなた自身の功績、努力。

死ぬまで、白夜はアナタと生きていたかったと思うわ。
映画公開になったらわかるでしょうけど、モノローグがそんな感じだったし。

ああでも、アナタが先に死んでしまったら
きっと後を追いかけたでしょうけどね。

関係ありますよっ！

だって、萌花は……
白夜君が、あなたが、いなかったらきっと……こんなに、私は心の底から演じる事はできなかった。
わ、私の努力ですよ？そりゃね？
……でも、とってもとっても、大きな一つは、確実にあなたなんです。

死ぬまで……萌花は、誰よりも白夜君に、感謝してました。
ありがとう、っ……て。

……ふ、ぅっ。

晃は、親友だからね。

それでも先に死んでしまうこと。
そんな道しか選べなかったこと。

謝れる日は白夜には永遠に来ないんでしょうけど。

……盛り上がってるなあ。

……っ！
ぐす、っ。


あ……映画。
いよいよ、クライマックス、って感じ、ですね？

……っ。

ちょ、ちょっと、泣かないでよ。
私がアナタを苛めてるみたいでしょ？
だから“気難しい”とかいわれるのよね…、ホント。

ありがとう、その言葉や気持ちは受け取るわ。
でも、アナタの努力がすべてなの。
アナタの評価は、アナタが自分で勝ち取るものなの、わかる？
業界ってそういうところなのよ、それはモデルも俳優も変わらないはず。
“私と一緒に出来たこと”よりも“私と一緒にやったアナタ”が評価されるの。
だから、アナタの努力。

そこに少しでも私が関われたのだとしたら光栄に思うわ。
萌花も、設楽さんも……ありがとう。

curanさんはいいひとです！
いいひと、です！
まだ萌花の、感情が出てるだけ、で！

こう、え……私も、ありがと、ございまず……
泣かない、うー……

[涙が零れる寸前でぐぐっと堪え]