56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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ー翌朝ー [騎士と馬たちを送り出した少年は、緑騎士団の陣営にいた。 僅かばかり気の立っている馬を宥めて引いているうち、成り行きそうなった。 制服は赤でも緑でもない、厩舎員に支給される作業服にも似たブルーカラー。 ヴェスパタインの演説に耳を傾ければ、自分のような非戦闘員でも気持ちが高ぶるようだった。 有事の際にと、帯刀させられているせいもあるだろう]
…勝利を。
[少年は呟く。 故郷を、大切なものを守るために、この砦に来たのだ。 いざとなれば、剣を抜く覚悟は出来ていた。 傍らの引いた馬を、ゆるく なでる。 すぐに、主が来てこの馬も戦場を駆けるのだろう。]
(86) 2011/07/01(Fri) 17時半頃
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― 回想 ―
[怪訝な顔をされるのも無理はない。理解をしてくれようとも思ってはいない。 ふいに出た言葉だった。考え事をする仕草。暫しの沈黙の後に出た言葉。]
さぁ?私は何が言いたいんだろうな。 まぁ気にするな。悪かったな。すまないが忘れてくれ。
[そんなこと言わなくてもオスカーが気にすることは思っていないが。 小さくなるその背中を見つめ、ため息をついた。]
(87) 2011/07/01(Fri) 18時頃
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― 暁直前・砦前平原 ―
[オスカーと別れたあの後、すぐに号令がかかった。 騎士が 馬が 群れを成して静かに平原へと姿を現す。 団長・副団長の言葉を耳に女はまだ見ぬ姿の敵陣へと目をやった。 徐々に昇る暁は暗闇だった世界を明るく照らし始める。
遠距離戦闘が得意な幼馴染とは違い、近距離戦闘の方が得意な女の布陣は前衛。 興奮気味の愛馬に落ち着くように優しく顔に触れると、女は腰に収めた剣の鞘を抜いた。]
(88) 2011/07/01(Fri) 18時頃
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[団長からの鼓舞が聞こえれば、剣を持った右手を高らかに挙げて応えてみせた。 怒濤のように湧き上がる歓声。皆の共通の敵は―――セシル。 威勢のよい号令がかかると愛馬に鞭打ち、走り出す。]
――――行くぞっ!!
[女は声と共に敵陣へと*乗り込んだ。*]
(89) 2011/07/01(Fri) 18時頃
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―夜明前:砦―
[二つの騎士団の後方には、それぞれ衛生兵たちが控えている。戦況によって、駆けつける場所は臨機応変に変わる。
戦場を駆けて負傷者を後方に運ぶ者、砦に待機して治療にあたる者。自分は前者をよく希望している。それは恐らく、同じように衛生兵であり、戦地で命を落とした父の影響だろう。]
…………。
[ぎゅっと救急鞄の紐を握る。救命用具が詰められた鞄には、武器は入っていない。護身用のナイフが一本、腰に携えられているだけ。]
…勝利を。 そして、できるだけ多くの人が戻って来れますよう…
[願いは、朝焼けの中に消えていく**]
(90) 2011/07/01(Fri) 18時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2011/07/01(Fri) 19時半頃
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は、はい……申し訳ありません。 忘れおくべきかとも思いはしたのですが。
[鋭く聞き返されて、思わず少し身を退く。>>85 堰を切ったように出て来る言葉を聞きながら、 無人の礼拝堂、鍵を掛けるべきか迷う]
……それは、一体どういうことなのですか? 騎士団のことですよね、それが力を揮うことと、 その仰る方と、どのような関わりが……
[とても、人に聞かれてはならないような予感がした]
(91) 2011/07/01(Fri) 19時半頃
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―薄明 出陣前―
[出陣前、姿を見せた神父に目を向けた>>71 元々神を崇めるような思考で無かっただけに、 普段から、彼を困らせてばかりいた気がする。]
…神様とやらが、こっちの味方である事を祈るよ。
[飛び出たのは、やっぱり皮肉だったけれど。 最後にしっかりと胸に手を当てて、頭を下げながら 激励への感謝の言葉を、神父に放っていった。]
(92) 2011/07/01(Fri) 20時頃
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― 暁直前・砦前平原 ―
[甲冑を身に纏い、いつも腰に携えている剣の 感触を確かめるように、手に取る。 傍に居るベネットの声が聞こえれば>>68]
…ま、書類整理よりはな。
[平原に、今まさに昇らんとする光を見つめ、静かに息を吐く。 かつては自分もその中にいたであろう、 赤の旗の下に群がる騎士達を見わたして
――――…鳴く。]
(93) 2011/07/01(Fri) 20時半頃
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赤き旗を背負いし戦士達よ。 今、戦いの時が来た。
[其の声は、次第に大きさを、激しさを増していく。]
身体を流れる赤の如く、 内に秘める闘志を燃やせ―――!
鋭き牙を持つ狼の如く、 我等を阻む敵を引き裂け―――!!
[高まる士気は、狼達の咆哮に似て 赤い太陽が昇る平原に、響き渡る。]
(94) 2011/07/01(Fri) 20時半頃
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[緑萌ゆる大地に愛された狩人と相反する、 闘志の炎燃やす狼の旗が揺れる。]
――…さあ、我が同胞、赤狼。
その牙を持て、己が力を見せ付けろ。
[剣を、高らかに空へと掲げて]
(95) 2011/07/01(Fri) 20時半頃
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―――――今、勝利を我等が手に!!!
[砦中に響くであろう、笛の音に想いを馳せながら**]
(96) 2011/07/01(Fri) 20時半頃
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ムパムピスは、ヴェスパタインらの返礼を思い出し、再び無事を祈る。
2011/07/01(Fri) 21時頃
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[ムパスピスの怪訝そうな物言い>>91に、やっと自身が大変な事を口走った事に気付く 思わずいつもの対外用の笑顔が浮かんだ]
いいえ。叶わぬ、昔の恋の話ですわ…
[誤魔化しともつかない、曖昧な言葉で明言を避ける 礼拝堂の鍵には気付いていない 聞かれていても、おかしくはないだろうか]
ねえ、神父様? どうして、戦争が起きてしまうのです? どうして皆、幸せになれないのです?
神父様は、愛しい方はいらっしゃいますの? 憎い方はいらっしゃいますの?
どうすれば、衝突を避けられるのかしら…
[自身の昨晩の事件。それこそが、衝突の始まりだと気付いていないままに]
(97) 2011/07/01(Fri) 21時頃
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[ペラジーから受け取った動物用の包帯や薬品を詰めた鞄を下げ、主を迎えた馬を見送る。 馬は貴重な戦力だ。 仮に主を失えど馬が生きていたなら、連れ帰らねばならない。 少年は、自分の役割をよく理解している]
…負けるはずがないさ。 緑にはヴェスパタインさんや弓の名手のヤニクさんがいる。 赤には、イアンさんとベネットさんが手を取り合ったんだ。
生きて、帰るんだ。
[少年は、言い聞かせるように強く呟き、敵軍がいるはずの方角を見つめた]
(98) 2011/07/01(Fri) 21時半頃
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[思いの丈は、彼女の胸中にだけ仕舞われてしまった。>>97 よそ行きの笑顔を見てそう思った。返答に窮する]
私は……神様に仕える身分ですので。 でも、私によくして下さる隣人を愛おしく思いますし、 心ない振る舞いに憤る事もございます。
公女殿下は、皆に幸せになって欲しいのですね。 不幸な衝突を避けたいとお思いなのですね? もしそうお考えなら、相手の心に立って考えなければ。 殿下が幸せにしたいと思う方の真心がどこにあるのか、 それを考えなければなりません。
(99) 2011/07/01(Fri) 21時半頃
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……この戦をお止めになりたいのですね。 戦は始まってしまいました――でも、始まりです。 まだ終わってはいません。
どうか絶望しないで下さい。 子らが心を偽って生きる事を、神様は哀れまれます。
[ポケットから礼拝堂の鍵を出し、彼女の手に握らせる]
こちらの鍵です。 誰にも話せない事なら、どうぞ神様に明かして下さい。 公女殿下のお心に、きっと耳を傾けて下さいますよ。
(100) 2011/07/01(Fri) 22時頃
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ムパムピスは、引き留められなければ、一礼して礼拝堂を後にするつもり。
2011/07/01(Fri) 22時頃
フィリップは、ムパムピスに話の続きを促した。
2011/07/01(Fri) 22時頃
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― 薄明:出陣前 ―
[オスカーは、戦場に出る時も甲冑を身につけたりする事は無い。 何時もの様に、黒い服を身に纏っている。 流石にマフラーはしてはいないが。
其れは、主が戦場で自分を見つけやすい様に。]
(101) 2011/07/01(Fri) 22時頃
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[やってきた神父の言葉を、イアンの数歩後ろに控えながら受けて。]
……。
[彼に対して言葉をかける事は、無かったけれど。 主が神父に対して頭を下げれば、オスカーもそれに従い、頭を下げた。]
(102) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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― 暁直前:砦前平原 ― でかい声だな…。
[自分の斜め前、赤狼達を前に咆哮をあげる彼の大柄な後ろ姿を眺めながら思わず苦笑して。 自分と同列に並ぶベネットの横顔にも、ちらりとその緋をやっただろうか。]
(103) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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―薄明 出陣前―
[出陣の前に、姿を見せた神父>>71 青年もこれと言って敬虔な信仰も無かったが、心からの激励は純粋に嬉しく]
ありがとうございます。 必ず、無事に帰ってきますから。
[心配そうな神父を安心させる様に薄く微笑み、皆と共に出陣するのを見送られただろう]
(104) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/01(Fri) 22時半頃
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[出陣を報せる笛が響いてから幾時か経っただろうか。 遠い平原では狼と狩人がその力を揮っている頃だろう。
公女殿下から引き留められることはなかったようだ。 廊下に出て、所在なく歩き回っている。
やがて、負傷した兵や馬を運び込むために門が開かれ、 嵐の前の静けさだった砦の中も一挙に慌しくなった。 平和への願いとはとても裏腹に]
(105) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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[やがて敵軍が見える。 先頭に立つ将は、長い黒髪を束ねた、長身の緑眼の男。 整った面差しに反して、その猛将ぶりは少年でも聞き及ぶ程だった]
ガイル・カロッサ……
[少年は、禍々しいものでも口にするようにその名を呟いた。 黒い馬が、嘶く。 彼の剣が鞘から抜き取られ、天へと翳される。
それが、此方側の敵軍の攻撃開始の合図だった。]
(106) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2011/07/01(Fri) 22時半頃
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[高く咆哮をあげる同胞達に呼応する様にすらり、と剣を抜き放ち。
ベネットが発した言葉に、その緋の目を細めた。**]
(107) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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― 暁直前:砦前平原 ―
『 ―――――今、勝利を我等が手に!!! 』
[闘志の炎燃やす狼達が一斉に雄叫びを上げる。 高らかに天へ翳された牙は空を突き破りそうに。
火蓋が切り落とされる]
(108) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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[平原の向こうに対する敵軍。 黒髪を束ね、嘶く黒い馬に跨る姿は死神の様に。
睨み合いはほんのわずか一瞬。 天へ翳された剣と共に、敵軍と言うひとつの巨大な獣は唸りをあげる]
(109) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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――― 行くぞっ!!
[鋭い赤狼の咆哮が鬨の声をあげる。 砦の前に広がる数多の軍馬が嘶き、馬蹄で地震を引き起こす様に駆け出す。
真直ぐに進み、待ち受けるのは、激突]
(110) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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[厩舎の方を回って、フィリップも出陣した事を知る。 日の出前に騎馬達を引き出していた姿を覚えていた。 我知らず、胸の十字を握り締める]
……神様、どうかあの子を無事に戻して下さい。 フィリップ君はまだ二十歳にもなりません。
死して後の、来世の幸せなど願わず、 今生きている幸せを求めてよい歳なのです。
(111) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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― 平原 ―
[赤と緑。 二色の集団が別々の方向に一斉に蠢き始める。]
奴は…ガイル・カロッサ?
[ブルーの服に身を包み、敵陣を見つめる少年に女は声をかけた>>106。赤騎士団のはずの女が何故ここにいるのだろうか。 女は真っ直ぐに名を呟かれた男を見つめた。]
(112) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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フィリップは、ミッシェルに頷いた。
2011/07/01(Fri) 23時頃
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[敵軍の攻撃は激しく、やがて敵味方入り乱れての混戦となった。]
…ッ
[鋼のぶつかり合う音と、大砲の放つ硝煙の臭いの中を、駆ける。 主を失い暴れまわる馬を引きもどすために。 ふいに、ヒュっと振るわれた剣が、肩口を裂き、血が噴きだした]
ぐっ…!
『お前、騎士ではないな。 だが ――― 戦場において命の重さは等価だ』
[何時の間にか自分が自陣から離れ過ぎていたのか、相手が切り込んできているのか。 無造作とも言えるような流麗さで剣を振るい、少年の肩を裂いたのは敵将ガイル・カロッサその人だった。
剣を抜くか、逃げるか。 血の噴きだす肩を押さえて下した判断は一瞬。 傍らの馬の手綱を無事な手で引くと主を失った馬へと乗り、全力で引く。]
(113) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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『逃げるか。 敵わぬと思うならば、撤退もまた勇気』
[翡翠を細め、黒い馬を駆る男は少年を深追いすることはなかった。 振り返れば、自軍の騎士と切り結んで、切り捨てているのが見えた。 将でありながら先陣きって戦うことを好む男は、返り血により更に禍々しく見えた]
(114) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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―平原:赤騎士団側―
[両軍が正面から激突すれば、たちまち土煙があがる。人と馬が入り乱れ、矢が飛び交い、剣と剣がぶつかり、怒号が聞こえる。
そんな最前線よりもやや後ろに配置されているのは、やはり女だから。それでも、危険な事には変わりはない。]
OK、足は止血できた。他に痛い所は?歩ける?
[片足を負傷し、手当てをした騎士に肩を貸し、砦へと引き返す。負傷者を送り届ければ、再び負傷者がいないかを探す為に戦場へ。何度も、往復する]
(115) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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