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メモを貼った。
……どうせ、戦は始まっただろうよ。
もう秒読み段階に入ってたんだから。
[『攻め入る口実』についての感想をぽつりと漏らす。
それは、戦争の引き金となるかもしれない罪悪感半分、心からの本音が半分。]
緑国と赤国。
昔は手を取り合えていても、今は違う…
そっと目を伏せた。**
メモを貼った。
― 赤国国境 ―
[陽が傾いてきた。陽が暮れる前にララントに到着して良かった。
交易の盛んな、国境帯のこの街を囲む壁の造りは公国の中でも頑丈な造りをしている]
とりあえず、フィリスは軍の屯所に、かな。
二人はー……うん。
[僕が説明するまでも無く、ムパムピスが受け持ってくれる
彼、ムパムピスは、只の二等隊士は勿体なさ過ぎると思う。
気性の荒い人間の揃う赤国では珍しい大らかさに、何度か垣間見せる事務的な方面の有能さ。
――特進…掛けてみるかな。使えそうだし。
勝手にそんな打算的な事を考えていて。
……あ、ここの揚げぱん最近食べてないや。
セディー、お金無さそうだし、明日でも会ったら奢ろうかな]
[態々僕から何も言わなくても、ムパムピスが纏めてくれる
……解る事は、口煩めのあの推佐。
彼よりもムパムピスの方が遥かに有能だって断言できる。
荷物も野盗に奪われてしまい途方にくれている、らしいメディも、入国拒否で放り出させるつもりは毛頭無かったけど、そこもまたムパムピスが腕の見せ所。
メディは、野盗の件についての参考人として。
僕が口出しする必要も無く、三人の入国は受け入れられた。
――というわけで、おいでませ赤国]
[――と思ったその時には
……!
[馬と馬が激しく衝突し、激しい嘶きが響く。
既にセディーの身体はメディに引き上げられてる。
そんな気はしてたけど、やっぱり歴史家て言うのは嘘だったんだ]
[そうしている間にも行き交う怒号。
メディはフィリスの知り合いだったみたいで、明らかにこのまま緑国へまで逃げ出そうとしているのが見て取れる。
――だけどここで逃がそうとも思わない。
このまま、何もしないままで逃がそうとは。
対立の意識を強めるだけの結果では終わらせたくない……]
――…………
[すぅ、と眼を細める。
獲物を狙う『狼』の様に…鋭く]
[ぱんっ、と音を立てる硝煙が立ち昇る]
……あれ……
[……僕、"まだ撃って無いのに"。
迅速に行動した誰かが威嚇射撃をしたらしく、そこで事は集束した。
あの人、伊達に口煩いだけじゃ無かったんだ。
そう思いながら、これでも護身用に隠してるハンドガンをこっそりと戻した。
もしかしたら、誰にも気付かれなかったかも知れない]
[やがてメディとセディーが連行されていくのを見送って。
何も言わずに馬を進めながら、少し考え込む。
――国境帯のこの街で、緑国の兵士(多分そうだと思ってる)が騒ぎを起こした。
取りあえず兵には即日緘口令を敷くのは僕の頭の中では既に確定事項。
メディは……こればかりは庇い切れない。命を落とさせる様な処置だけは絶対に取らせないつもりだけど、拉致未遂、軍務妨害。脱獄する気が無いならだけど、最低でも三カ月程度の禁固にはなるはず。
…考えが無い事も、無いんだけれども、今は無理。
後もう一つ。さっきのフィリスの言葉にも考えさせられるところがあって
どうにも上手くいかない。そんな言葉が一番しっくりと来る。
緑国の民は、赤国ではこの先冷遇を受けやすい立場だろう。それは僕一人の力では変える事の出来ない類だ。
それが、本来ならある筈の無い状況を生み出す戦争と言う物なのだろうけれども……]
[…ムパムピスの視線に気付く。困った様な表情]
……中々思うように行かないね。
まさかあんな所まで態々助けに来る人が居るとは思わなかった。
[どうしようかな、と苦い笑みを浮かべて見せる]
僕一人だけの力にも限界があるから。
国中の人の意識を変える事は出来ない。
どれだけ頑張っても戦争の火種は消えてくれない。
もどかしいね。
僕に出来ない事が出来る。
力を合わせて出来る事を沢山に増やせる。
――そんな人が居てくれたら、良いのにな。
[ポツ、と何時も思っている心の声を口に出す。
公子に…僕の足りない部分を補ってくれるような人がいれば。
身分差を取り払って、までは言わないけど、信頼し合える様な人がいれば。
無い物ねだりなのかも知れないけど]
……フィリス、一先ず君の怪我、医者に見せよう。
しっかりと足を治す事がまず第一。
[馬を寄せ、横目で沈みがちな表情のフィリスに。
足の怪我は、まず医者に見せるべきだろう。
立場上、僕の間隔からは、一日以上も放置しておく時点で考えられないのだけど、小隊でも処置はしっかり為されたみたいだから良しとして]
怪我を治しながら、ララントを見て回るといいよ。
あぁ、さっきの彼。メディと会いたければどうぞ。
困る真似をしなければ、誰か護衛が君に付く以外、君の行動に制限は無いから。
[馬の手綱を繰りながら、真直ぐフィリスの眼を見て]
暫くの間、この街を過ごしてみて。
この国の民が皆、君の思う様な野蛮で乱暴な奴等ばかりだと思ったなら、僕は何も言えない。
だけど、もし君の思っていた事と違う何かが見付かったなら。
何れ敵国になるかも知れない人間でも、無闇な血を流させたくない様に思うなら。
少しだけ協力して欲しい。
民の様子、軍の動き、それを知っているだけで流れる血の量は違ってくる。
今は無理でも、教えてくれる気になったらで良い。
[既に一度断られた事に、今度は条件を付ける。
その為に僕はこうして彼女を客人として招くことにしたんだから]
―― 二週間。
それだけ過ごしてくれたら、君の答えがどうであっても良い。
司法取引として、君の身柄は放免するよ。
[それに、この打算は最初から決めていた。
あのまま御咎め無しで逃がす事も難しかったからこそ、情報にも期待して、こんな回りくどい手を考えた]
国の誰が何と言っても、僕はこの国の公子だ。
次の大公として、公国を受け継ぎ、守る義務がある。
その僕の国で、戦争の血を流したくはない。
でもそれは同じ人間の住む他国も同じでしょう?
手の届く限りに犠牲は少なくしたい。出来る限りの手は尽くしたい。
[そこでフィリスを真直ぐに見詰めていた視線を離し、馬を先に進める。
もうあの赤狼の旗が靡いてる所が軍の屯所だ。
ちなみに僕もここを使わせてもらう。上級軍官用の部屋には余裕があるし]
――さっき、セディーが言ってたよね。護るべきは101だって。
良い言葉だと思うよ。
[出来れば、僕は更にもう一歩。102、くらい護りたいと思ってしまうけど**]
メモを貼った。
[
セドリックの言うことは、大体において己よりも先見性があり正しい。
軍に見限られた自分を単身助けにきたメディの行動を妨げれば、すでに正体の知れた彼は悪ければ射殺の可能性もあった。
セドリックの今後について言ったことも本心。
国という大きすぎて実感のないものより、学のない彼女には身近な大切なひとの安否に目がいき、明らかに短慮だった。
相談がほとんど不可能だったとはいえ、行動にでるまえにもっと自分にできることがあったのでは。今は思いつけずとも。
最悪の結果を前に、歯噛みするよりなかった。]
…すまない。
争いたいわけじゃ、ないんだ…。
[あの時意識を失わず自害に成功していたとしたら、メディやセドリックが拘束されることはかっただろう。
だが、今冷静に考えれば死体が見つかればやはり火種にされる可能性はあった。
苦い表情で頭を振る。
短慮すぎる。思考しろ。と、自分に言い聞かせ。
その後はメディとセドリックの処遇が悪くならないよう、何か聞かれたならば、先ほどのように口は噤まず、応えただろう。
とにかく、今は大人しく従う。]
メモを貼った。
メモを貼った。
[口にされた呟きは、蹄に交じって小さく聞こえた。
公子の立場上、色々な重責も背負っているだろうし、
若くして難しい所に立っているのだな、と思う]
……捕虜の扱いにも規則がありますから、
暴れなければいきなり酷い事にはならないはずです。
なるべく安全でいてもらえるように、今は考えましょう。
[言ってフィリスを励ます。
医者に診せたところ、足の怪我は全治1週間弱。
翌日、彼女に渡した着替えは自分の私服だ。
制服勤務だからほとんど使わない代物だったが、
何かの時のために(?)準備だけはしておいたものだ]
緑の軍服で出歩くと、フィリップスさんに要らぬ嫌疑が
掛かるかも知れないので、サイズは合わないですが、
一先ずこれで我慢して下さい。
[赤の軍服ならサイズの合う予備があるのだろうが、
それは余りに忍びなかった**]
メモを貼った。
― 赤軍牢屋 ―
――――のわあああっ!?
[拘束に大人しく従っていたにも関わらず、牢屋に投げ入れられる。
突き飛ばされて、青年の華奢な身体はいとも簡単に転がった]
あ、だだだだだ……。
『そこで頭を冷やしていろ、緑国の鬼畜め!』
[軍人は軽蔑の眼差しで青年を見下ろし、吐き捨てて牢を出て行った]
[軍人が去った後、思わず噴きだす]
――……ぶっ。
鬼畜……キチク。
野蛮人やら脳無しやら屑やらは慣れっこだけど、
流石に鬼畜は初めて言われたぜ……!
[あーはっはっはっはと、お腹を抱えて楽しそうに爆笑している。
見張りに五月蠅い!と怒鳴りつけられるまで、その笑い声は牢屋中に響き続ける。隣の独房にいるメディの所にも届いただろう]
メディはばかだなあ。
[隣の独房で漏らされた呟き
自分の膝を抱えて座り、メディと自分を仕切る壁に寄りかかった]
「手を取り合う」じゃない、元々「ひとつ」だったのに。
なんで、争うんだろうなー?
[明るい声で、壁越しにメディに問いかける。
ふう、と溜息を吐き、頭を膝に埋めて。]
なんでみんな、覚えてないんだろうな……。
[その言葉は、消え入るように呟いた**]
メモを貼った。
―牢屋―
うるせー。俺が馬鹿なのは認めるが、本当のことでも傷つくんだぜ?
俺のナイーブハート、もーボロボロよー。
[ものすごい高笑いの後で呟かれた悪口に、力のない声で答えた。
相手の声が聞こえるよう、隣りとこちらを隔てる壁に背中合わせ。]
……元々が一つだとしても、今は二つ。
一つなら争いは起こらなかっただろう。一が二つに分かれた、それが始まり。じゃんけんは片腕じゃできない、でも両手があったら勝負ができるようになる、みてーなもんじゃねー?
[消え入るような小さな呟きも、かすかに聞こえて]
……お前は、何を覚えてるっていうんだよ。
[隣の独房から返ってきた声
……っ、なんだそれー!
じゃんけんってひっでー例えだな、おい!
せめて細胞分裂とかに例えろよ! プラナリアとかさー!
[馬鹿にするようにげらげらと笑う。
けれど、その例えは非常に簡明で説得力がある、と内心思う。彼は色々なものを見てきて、自分で考えて生きてきた人なのだろう、と。]
やっぱあんた馬鹿じゃねーな、イイヤツだ。うんうん。
[一人納得して頷く。]
[「何を覚えている」と問われて、眉根を寄せて苦い顔をした。
しばらくの躊躇いの後、ゆっくりと語り出す]
俺のご先祖様は、「緑の騎士団」のエライ人だったんだって。
じーちゃんがいっつも話すんだよ、国の為に身をやつしたんだーって。
俺の名前……セドリック、ってのもその人から取られたらしくてさ。
んなもん勿論誰も信じてなくて、
うっせジジイ、誰がセドリックだ、って俺も思ってたんだけど。
[そこで一旦言葉を切って、瞼を薄く伏せる]
……なんつーか。その人の気持ちが妙に分かる、っていうかさ。
その人が見たものを、時々見るんだ。
――――頭オカシイ、って思うだろ?
この野郎…ちょっと頭いいからって…
プラ…プ…なんとか?がわからなくったって生きていけるわ!
[ぎりりと歯を噛み締めた。興味を持って独学で学んだ歴史とは違い、理系関係はさっぱりであった]
なんだそりゃ。馬鹿の反対がイイヤツ、なのか?
[セディーの理屈がわからず、くすりと笑った]
へえ、緑の騎士団なあ。
あの国境ぎりぎりの砦を守ってたっていう?そういや、フェリスと仲良かったみたいだし、あの近辺の出身か?
[由緒正しい家柄らしいのは話半分に聞きながらも、あり得ないとは言い切れない話だと思っていた。]
…………へえ。
例えば、どんなのが見えるんだ?
[少しの間を持った後、頭ごなしに否定はせず、更に問う。]
メモを貼った。
おうよ! 世の中にはイイヤツと、まだイイヤツになれてねー「馬鹿」しかいねー。
これ、俺の持論!
[ふふん、どうだー!などと大声で言いながら胸を張る。
無論、見張りの軍人から「黙れ!」と怒号が飛んで来て。やべっ、と呟いた声もメディの耳に入ったか。
聞こえてきた小さな笑い
よし、よーやく笑ったな。
笑え笑え、笑顔は世界を平和にするんだぜー?
[先程よりは小声だが、メディに聞こえるように。]
そうそう、フィリスと同郷だぜー。アメルン村!
ご先祖様も何も、ド田舎の、ただの農民の息子なんだけどなー、俺。
[あっはっは、と笑えば、再び見張りが怒号を上げる。
わかった、ごめんってばー!などとの騒がしいやり取りがなされて。]
おお、笑わずに聞いてくれる? お前ほんとイイヤツだな!
そうだなあ……たとえば。
わっちはー、とか言ってるキモノの参謀とか!
お前知ってるかキモノ。ずーっと東の方にある国の服!
メモを貼った。
シビアな判定だな、「普通の人」はいないのか。
って、声がでか……
[案の定、怒号が飛んできて、こちらも一瞬口を噤む。
言わんこっちゃない、と苦笑して
笑うのが平和を呼ぶのは同意だが、そこの見張りにはイライラを呼んでるから程々にな。そのうち、殴られんぞ。
[おかげで、こっちの気は大分緩んでいるが、少しセディーの身が心配である]
なるほどなあ。フィリスちゃんがお前も見捨てられんわけだ。
[納得したように、独り言を小声で。セディーでなくとも、彼女なら緑国民を見捨てはしなかっただろうが、知り合いとなれば尚更だろうと。]
おお、軍人に殴られたら俺なんて一溜りもねーな。気をつけようっと。
[メディの忠告に、男としては若干情けない言葉を呟き頷いた。
言われた通り大人しくしていると、小声でつぶやいた独り言を拾い聞く]
へっへー。フィリスは面倒見がいいからな。
あんたも知ってるだろ。イイヤツ!
そういや夢の中に出てきたフィリスそっくりの奴は、動物の世話をしていたなー。
鳥とか馬とかの世話が上手でさ。ご先祖様の馬もすげー綺麗にして貰って、ご先祖様すんげー感謝してたわ。
……まあそいつ、男なんだけどな!
[また大声で笑いかけたが、一応忠告を思い出して口を噤む。]
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