8 DOREI品評会
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[硬翠が此方を睨むのには、満足そうに笑んだ。
鋭さは戻っていたが達した後の名残もまだ見える気がして。
男は壁に備え付けてある固定のカメラに近づくと、振り返り]
うん?
何で奴隷の御前にそんなことを教えなければならないんだ。
そんなに俺のことが知りたいのかい?
[こつんと壁を叩くようにして、はめ込まれている機械の存在を指した]
それより、御前には絨毯を汚した仕置きをしないとね。
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─ 舞台 ─
[奴隷の中で舞台に現れたのが一番遅かったのはイアンだったかもしれない。 衣服は元来ていた衣装を適当に引っ掛けただけ、シャツのボタンを一つも止めず、ボトスムからは下着を付けぬ腰の線がしどけなく見え、乱れたままの姿。近寄れば、汗と精臭の入り混じった匂いが漂う。
──イアンは、はじめて知らない世界に来たかのよう。 呆然とした様子で、現れた。 すでに舞台は酷い様相。]
俺は、 …… 今 なん の ゆめをみているん だ?
[看護婦姿のツィーが控える舞台。男への水責め。破瓜を迎えたばかりの少女二人が、せめられている。緊張感が途切れた事で、疲労の残る身体が、来る途中でわざとぶつけた爪先の痛みが、これで夢ではない事を知らせていた。]
(156) 2010/04/09(Fri) 00時半頃
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どうして こうなった?
[それは、自分がさっき終えた、達成して完結した、と思っていた行為の先が既に舞台上で始まっている事に対しての感想。自分が加担した事のおそろしさを知った言いようの無い恐怖と無力感。 手術台の上で全てを曝け出すように固定されたマーゴを抱いた感触がまだ、イアンの腕の中に残っている。]
(159) 2010/04/09(Fri) 00時半頃
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─ 回想 寝台のある部屋 ─
[繋がった箇所からマーゴの腿を伝い、シーツに紅い染みが出来る。淡い鉄錆の匂いがイアンの鼻にも届く。 口唇を重ねる時、マーゴの睫毛が何か言いたそうに揺れたように感じた。水を含んだ瞳がみせる影に、イアンはただ荒い息を吐いて、せつなげに眉根を寄せた。くちびるを塞いでしまえば、言葉は形を成す事無く。
律動に合わせて寝台が揺れ、濡れた音が響きはじめる。 甘く可愛らしい喘ぎ声と絡み付く媚肉の馴染んだ感触。カルヴィナの時と異なり、快楽を与える事が出来ることに、イアンは心の中でさっきと同じ、助かると言う言葉を繰り返し、快楽に反るマーゴの背のくぼみにくちびるを落とした。]
… ん、 は あぁ
[足元のシーツは汗でじっとりと湿っており、巡る血流にまるで海の中にいるよう。ジンジンとした痺れが爪先まで届く。身体に電流を通されたようになってイアンは、イアンは。 ────回想はそこでブツリと途切れ。]
(161) 2010/04/09(Fri) 00時半頃
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記者 イアンは、道化師 ネイサンの声だけが、狂宴の中で異様に鮮明に──だが奇妙なまでに沈んで聴こえた。
2010/04/09(Fri) 00時半頃
[問いかけを、逆に問いかけで消されてしまえば苛立ちが残る。
睨んだ瞳はそのまま男へと向けられ続けていた]
『別に、何故そこまでプライドに固執するのかが気になっただけだ。
貶めることに何故それほど執着するのかと。
…それ以上の事は、何もない』
[こつり、と壁を叩く音に其処に何があるのだろうと
瞳を眇めて、それから呆気にとられたような顔へ変わる]
『…ッ』
[仕置き。その単語に微かに肩が震えた]
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ゆめ じゃない。 分かってる。
こうなると、最初から理解していたら? ──理解していたら、俺 は。
[客席にいるグロリアの黄金の髪だけが眩しい。]
(163) 2010/04/09(Fri) 00時半頃
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