308 【R18】忙しい人のためのゾンビ村【RP村】
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[ そのあとしばらくして、
ジャーディンは静かに立ち上がり、
覚束ない足取りで部屋に帰っていった。]
[ 少し前からいずれ止まるだろうと警戒して、
できるだけ水を貯めてはいたけれど、
無尽蔵に使えるわけではなくなってしまった。
あの日以来、
わたしたちはまたわずかな食糧で、
糊口をしのいでいる状態だった。
できるだけ長く生きるために。
今あるもので、できるだけ長く。]
[ 平和的に過ごしている理由は、
それだけではなかったわ。
ジャーディンが降りてこなくなったの。
一日中、犬たちのいる部屋で過ごしてね。
毛布を一枚持ち込んで、
お手洗いに立つ短い時間以外、
部屋の壁にもたれかかるようにして、
じいっとその場を動かなくなってしまった。
食事の時間になるたびに、
わたしはあの子の分を部屋まで運んだ。
それから、時折犬にエサをやるときも。]
[ もうとても毎日はやれなかったけど、
残り少ないエサをたまにやっていたのね。
それは必ずしもわたしの役割ではなくて、
部屋にいるあの子に任せてもよかったけど、
たぶんわたしはあの部屋に行く理由がほしくて、
度々エサをやりにいっていた。
わたしがエサ皿にフードを流す間、
ジャーディンは何一つ見逃すまいとするように、
じいっとこちらに視線を注いでいたわ。
そんな状態だったから、
誰もそろそろ≠ネんて言い出せずにいた。]
[ 日に日にチビちゃんたちの口数が減って、
大人たちも塞ぎこむことが増えた。
お隣の息子さんはしきりに、
外へ出ようとご主人に訴えかけてたわ。
また何か見つけられるかもしれない。
また何か捕らえられるかもしれない。
その可能性に縋っているようだった。
あの手この手でそれを躱していたご主人が、
その日、ついにわたしの元へやってきたの。]
わかっているでしょう。
もう、次の手を打たなくては
[ それが何を意味しているかなんて、
火を見るよりも明らかだったわ。*]
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――砂漠荒野の建物にて――
生きてる……のか
[座りながらじっと掌を見つめる。 ゾンビに肩を掴まれた感触をまだ覚えている。 あの時はもうさすがにダメだと思った。]
『ああ、お前は生きてる。俺が助けたからな』
[向いでタバコをふかす大柄の男がぶっきらぼうにそう言った。 流暢な英語と迷彩服の柄から、彼が軍人である事が見てとれた。]
あの…ここは、アメリカ軍基地…なんですか?
『そんな訳ねぇだろ。地元の気象観測所みたいな所だろう もっとも、俺たちが来た時には 中の奴ら全員死んでたけどな』
(0) 2020/10/26(Mon) 14時半頃
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[男は色々と話してくれた。 紛争準備中にゾンビ達が現れた事。 仲間の軍人が次々と感染していった事。 無事だったのは自分と彼女の2人だけだった事。 敵味方構わず襲ってくる奴らに向かってひたすら発砲し続けた事…]
『バイクに乗ってここまで来たんだ。 着いたときにはもう誰も生きちゃいなかった。 それからもう何日もここにいる。』
[傍にいた彼女がこくんと頷いた。肩にライフルを背負っている。 彼女も軍人なのだろう]
『あなたも今までよく生きてたわね チャイニーズの商人かしら?』
いや、ジャパニーズのカメラマンだ
『………そう』
(1) 2020/10/26(Mon) 14時半頃
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奴らはなんなんだ? 一種の感染症か?あるいは生物兵器なのか?
[もしも戦争用にこんな酷いものが開発されていたのだとしたら?という疑問をぶつける。そうだとしたら一大スクープだ。 更に、開発側がワクチンか何か解決法を持っているという事も予想できる。]
『分からない。 少なくともアメリカ軍の生物兵器ではないと断定できる。 我々は大きな損失を被った。』
…たしかに。
[だとしたら、なぜこんな事に? ニュースを見ている限り、世界人口はぐんと減っている。 もちろん正確な死者数も被害者数も分からないけれど、インフラすら止まってる地域では、復旧に長い時間がかかるだろう。]
(2) 2020/10/26(Mon) 15時頃
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『万が一奴らとまた遭遇したら、これを使いなさい』
[女軍人から手渡されたそれは、防犯ブザーのようなものだった]
……これは?
『その紐を引っ張ると、大きな音がなるの。 それを遠くに投げれば、奴らの注意を逸らせるわ。 奴ら、目が悪いから音によく反応するのよ』
[なるほど。 思い返せば、大声を出していたおじさんに大量のゾンビが集まっていた。あれはそういう事だったのかもしれない。]
(3) 2020/10/26(Mon) 15時頃
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[そして、僕もそろそろ人探しをSNSでお願いしないといけないかもしれない]
……明日香
[ずっと連絡を取り合っていたけれど、4日前からパタっと既読がつかなくなった。 きっとバッテリーが切れただけだ、と自分に言い聞かせていた。 充電すればまた連絡できるだろうと思っていた。 が、いつまで経っても既読はつかなかった。 右側からでてくる、自分の送信したメッセージが無駄に増えていくだけだった。 不安で心配でたまらなかった。]
(4) 2020/10/26(Mon) 15時頃
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[首から下げていたロケットペンダントを開く。 彼女の笑顔の写真がそこにあった。]
(5) 2020/10/26(Mon) 15時頃
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[ 扉を開けたわたしを、
あの子はじいっと見つめていた。
何も言わずに、ただわたしだけを。]
……ジャーディン、
[ 犬たちと寄り添いあうようにして、
ジャーディンは足を投げ出していたわ。
切れ長の目はこちらを向いていたけど、
そこにあまり力はなかった。
どこか気だるげにも見えたのね。
緩慢な動作で傍らの犬の毛を梳きながら、
それでもあの子はゆっくりと口を開いたわ。
平坦でいて咎めるような声色が、
はっきりわたしに向けられているのが分かった。]
[ ああ、ジャーディン。
あなたはこのまま死ぬほうがマシだというの?]
ジャーディン、わたしは……、
[ わたしは……何と言いたかったのかしらね。
あの子に何を伝えたかったのかしら。
あなたに生きていてほしいってこと?
それを伝えることに意味があるかはさておき、
確かにそれはわたしの最大の望みだった。
あの子が望むと望まざるとにかかわらず。
けれどね、
わたしがそれを口にすることは叶わなかった。
しびれを切らしたお隣のご夫婦が、
様子をうかがうように部屋の中に入ってきた。]
[ この間のように、
わたしが犬を連れだす算段だったのね。
けれどわたしはちっとも出てこないし、
あの子が部屋に居ついていることは、
当然彼らも知るところであったから、
自分たちで直接説得しようと思ったのかも。
とにかく、彼らは部屋に入ってきて、
それでもあの子はわたしを見つめていた。
視線ひとつとして揺らすことなく、
ただ、わたしの答えを待つようにして。]
[約15日。
二週間と一日。
土日がたったの二回きり。
世界がこうなるのにかかった時間。]
[あれから俺は何度か元帥と外に出向いて
無い食料を探してはゾンビを殺し続けた。
ちょっと昔のホラーゲームに
主人公が永遠にゾンビを殺すエンドがあったけど
ちょうどそんな風に、どこからともなく沸き続ける連中を
殴って殴って殴り続けた。
都内ってこんなに人住んでたっけ。
こじんまりしたかつての首都の中に
滅亡とゾンビがみっしり詰まってる。]
[元帥は相変わらず
何事にも関心がなさそうな冷たい目をしてたけど
たまにゾンビを殺す俺を複雑そうに見るようになった。
聞いてみたら、元帥もまた、
ゾンビになった恋人を殺したんだそうな。
俺にシンパシーでも感じてんの、と笑ってやったら
そんなわけねえだろ、とそっぽを向いていた。
へんなやつ。]
[ショッピングモールの中で
元気に遊んでた子供たちが倒れだす。
大人も動くことが減った。
「このままじゃもう保たない」と叫んで
バリケードの外に出ていこうとした男が
ゾンビの襲撃を恐れた人間たちに撲殺された。
限界がすぐそこに来ていた。
崩れるのはあっという間だ。
俺の楽しい大学生活が
ゾンビに侵された時のように。]
[――だからその日は、ほんとにあっけなくやってきた*]
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