254 東京村U
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― 深夜・代々木 ―
[代々木に到着。 入間は一二三の到着を待った。 彼の到着は日付が変わったころだった。 同級生の顔を見て、入間はほっとして一度その場にしゃがみ込んで、顔をうつむかせた。]
……いきなりごめんね、ありがと。
[と、鼻声でお礼を言った。 間違いなく化粧が崩れてひどいことになっているに違いないため、顔をあげたくなかった。]
(4) 2016/10/01(Sat) 01時頃
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ホテル、探したほうがいいかなあ…… いっか……も一回、電話させてもらお……
[鼻をぐすぐすいわせながら、なるべく一二三のほうはみないようにして、キルロイ先生に電話をかけた。返事は、迎えに行くから待っててというもの。]
(5) 2016/10/01(Sat) 01時頃
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ど、どっか行かないでね。怖いから。
[キルロイ先生が到着するまで、一二三のカーディガンの裾だけ掴ませてもらっていた。 一二三には、キルロイ先生を待ちながら、今日あったことをぽつぽつと話し始めていた。 家に帰ったら知らない人がいた事。その人たちが自分の父親母親のふりをすること。従兄といたがはぐれてしまったこと。偽親から電話がかかってきていて、知らずに新宿駅で出てしまったことなどだ。]
(17) 2016/10/01(Sat) 01時頃
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[話を途切れさせないように、静かになってしまわないように、一二三はキルロイ先生と会った時の話をしてくれている。 入間は暫く「うん」と頷くだけだったが、歩きスマホをしていて倒れた話はさすがに、疲れた笑いではあったものの、笑ってしまった。 電話の話し口を聞く限り、それほどまでの奇跡的なおもしろドジッ子だとは思わなかった。いったいどんな人なのだろう。]
ほんと……めちゃくちゃ疲れた。
[入間自身のお小遣いはちょっとしたものなのだが、さすがに何日もホテル暮らしというわけにはいかないし、あっという間に手持ちのお金は尽きるだろう。]
(27) 2016/10/01(Sat) 01時半頃
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[話題が途切れてしまいそうだ。何かないかとラインの内容を振り返る。「そうだ」と声にだした。]
バイト受かったって、どんな系? 場所は?
(28) 2016/10/01(Sat) 01時半頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/10/01(Sat) 01時半頃
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清掃か〜〜。この辺が近いの? 遊んでいけそうじゃん。よかったね。
[内容を誤魔化されたことにも、その理由にも気づかず、ただ話が途切れてしまわないよう一二三と話していると、なにやら目つきの悪い大学生(?)らしき人と近づいてきている。 一二三へ、「え?あれ?あのひと?」と訊く。]
えっ、彼女連れじゃん……
(34) 2016/10/01(Sat) 02時頃
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[彼女らしきひとはゴス系の服の背が低めの金髪の女の子。 慌ててつないだ手を離している。別にいいのに。 彼女と居るところ押しかけてしまったのなら、かなり迷惑だったのではないだろうかと思う。 などと考えていたら、彼女説を否定される。 否定されたが、作家と編集が付き合っている、人には言わないことにしている、というオチを入間はまだ想像している。]
えと、夕方から、お世話になりました。 あ、母も、お世話になってます。
[と、キルロイ先生と出目照子という編集者の人に頭を下げた。 母と面識があると聞いてすぐ行方を知っているか期待を僅かに持ったが、キルロイと一緒にいたのだから、何か知っているならさっきの電話で聞かされていたはずだ。]
入間澪音です。
(37) 2016/10/01(Sat) 02時頃
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[キルロイ先生は、想像していたより、若い。 というか、思ったより大人っぽくない、というか。 今日は従兄と一緒にいたせいもあって、余計にそう思う。]
キルロ……じゃないや、きつゆ先生。 すいません、宛てとか全然なくて、結局きちゃって。 ていうか……その、怒ってます?
[目元を見てそう思った。]
やっぱホテル探せばよかったです、よね。
(38) 2016/10/01(Sat) 02時頃
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[入間は一二三のお調子者アピールに、ごく自然なトーンでおどけるでもなし嫌がるでもなし当然といった調子で]
彼氏とかじゃないです。
[と頷いた。つい教室での極めて入間らしい素が出た。]
えっと……ん? 編集さんと作家さんて、付き合ってたらダメなんですか?
[と、出目が見なかったことにしてくれと言ったのが、逆に隠して欲しいから言っているように聞こえたらしく、そう訊いた。]
(44) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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あっ。ご、ごめんなさい。 怒ってなかったんなら、いいんです。安心しました。
[目つきが悪いだけだったらしい。素直に謝った。 既にホテルの手配もしてもらっていたようだ。]
あっ、ホテル、先生たちも泊まるんですね……? そこまでしてもらっちゃって、すいません。
[入間はまだキルロイ先生たちの事情をしらなに。 渋谷に向かうというので頷いて、素直についていことに決める。]
(46) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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イルマは、リーから聞かされたためにキルロイ先生をドジッ子だと思っている。
2016/10/01(Sat) 02時半頃
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えぇ……代々木って今通り魔でてるんですか?
[斧を持った男が……なんてニュースはここ最近で見たことはなかったが、今日の午後いろんな意味で忙しくしている間に起きた出来事なのだろうか? 何にしても、住んでいる人が物騒だというのだから、そうなのだろう。 素直に代々木から渋谷へと向かう電車に乗った。**]
(53) 2016/10/01(Sat) 02時半頃
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[ホテルの部屋に着くまで、移動の時間はずっと従兄に電話をかけ続けていた。]
出ない……るいくんも……
[一緒に家に来てもらったから、頭のおかしな偽親たちや、またはあの近所の人間と何かあったかもしれない。 不安な気持ちが大きくなる一方だ。]
(106) 2016/10/01(Sat) 20時半頃
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― ホテルの一室 ―
[部屋は出目照子と同室になるようだ。 まったくの他人だけれど……と、その10センチは低い背の金髪頭をちらりと見た。 たしかに、一二三にもキルロイ先生にも今日は世話になり、入間としても深く感謝しているつもりなのだが、同じ部屋で寝たい!という気が起こるかはまったくの別の話である。]
出目さん。 電話とかかけててもいいですか?
人の音すると、寝づらい? いつ連絡つくかもわからないから ……電話だけかけてたくて。
寝れないみたいだったら、あたしトイレでかけてるから、 言ってください。
(107) 2016/10/01(Sat) 20時半頃
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[心配で不安で落ち着かないから眠る気があまり起きなかった。]
はやく出てよ……
[入間は携帯の充電器をコンセントに刺して、従兄や父に電話を何度もかけてみている。 その間、プラチナカードの電話番号をながめていた。どんな店やファンクラブかはしらないが、深夜にかけるのもはばかられたので、かけるならば日中だろう。 自分の電話を通話用に、母の電話を検索用に。 捜索願に関してや、その関連で出てきた探偵事務所に関することを分からないなりに調べようとしている。 合間に気になったことも検索してみる。しかし。 ――斧男の通り魔のニュースなんて、どこにもなかった。**]
(108) 2016/10/01(Sat) 20時半頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/10/01(Sat) 20時半頃
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― 朝:ホテルの一室 ―
え……何してるんですか出目さん。 なんか、落としちゃったとか?
[別にいいやと寝るのをあきらめ、徹夜を決め込んだ入間は、隣のベッドの出目がベッドの下をのぞき込む様子を、不思議そうに見ている。]
(149) 2016/10/02(Sun) 01時頃
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[つい、ため息が出る。髪の毛をくしゃっとかきあげるようにして、八つ当たりしようもなく憤って、小さく唸った。 結局従兄に昨晩連絡がついていない。 家に帰れているなり、どこか寝床を確保したなりできていれば、連絡の一言くらい寄越してくれていそうな従兄だ。 ついうっかりとか忘れていたとか、そういうことはなさそうで、だからこそ、今、とてつもなく心配をしていた。
また、家族が、親類が、消えてしまった。]
(150) 2016/10/02(Sun) 01時頃
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[早く、誰かしら一人でもいいから連絡がついてほしい一心で賭け続けている電話も、メッセージも、すべて空振りだ。]
もぉやだぁ……
[小さくそう涙声でいって、入間は膝を抱えて、顔を伏せた。 出目に部屋を出ようと言われればついていくだろうし、残っていてと言われれば大人しく部屋にもいるだろう。**]
(154) 2016/10/02(Sun) 01時頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 01時頃
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あぁ……、 たしかにちっちゃい頃は怖かったかも。
[出目が小さく笑いながら、隙間が不安とというのへ、入間は曖昧に頷いた。 なんとなく神経質そうな印象を抱くと同時、アニメ声だし、ゴス好きのようだし、そういう子はホラー・オカルト系の話が好きそうだなと勝手な想像をする。]
なんにも、なかったんですよね? 虫がいたとかでもなく……
[ちら、とベッドの足のほうへ視線をやった。 出目はキルロイ先生に電話をかけてくれるらしい。 すっかり任せてしまっているのが忍びなくとも、気持ちが俯いてしまっていて、親切に甘えるだけになっている。 入間はスマホで時間を確認しながら、プラチナ色のカードをいじっていた。]
(203) 2016/10/02(Sun) 12時半頃
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[この胡散臭いカードにも、ためしに電話をかけてみよう。 すこし時間は早いが、色々ありすぎて辛抱ができず、カードに書かれた数字に指で触れる。 自分のスマホと母のスマホを見比べて、家に居た知らない人から電話がかかってきた自分の携帯を、半ば捨てる気で選んだ。 キーパッド画面で番号を打ち込み、通話ボタンを押した。]
(204) 2016/10/02(Sun) 12時半頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 12時半頃
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[ゆうくん。 入間は電話をかけながら、目をみひらいた。 心臓がまた煩くなってきた。 父の名前は、祐輔だったから。]
……あの 入間祐輔が、そちらにいってませんか。
(210) 2016/10/02(Sun) 13時半頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 13時半頃
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ゆうくん……て、入間祐輔のこと……? あなた、知り合いなんですか?
[この若い女は、やけに親しげに呼んでいる。 一体これはどんな電話なのだと考えて、はたとする。 あの日の朝、あの両親は「浮気」だの「お金」だのでモメていたのだ。]
……、……。
[そうと決めつけるには早いとおもうのだが、思いついてしまったら、もしかしてが止まらなくなった。心配と同時に、馬鹿野郎と言いたい気持ちと、くだらないと言いたい気持ちがいっぺんにきて、自分でも今自分がどんな気持ちなのか分からなくなってきた。]
アタシ……入間祐輔の、娘なんですけど。 待って!電話、きらないでね!?
あなたが誰とかは割とどうでもよくて…… パパを探してるだけなの。
(212) 2016/10/02(Sun) 13時半頃
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[夫婦喧嘩をしていたはずの母の携帯電話と一緒におちていたカードにかけて繋がった電話である。 もしも母が、父親の夜遊びでも浮気でも愛人でもなんでもいいが(良くはないが)(今は縁起でもないので死ねと思うこともできないが)、なにかしらの不貞に気づいて没収したカードである、というのが、現状入間が想像している事情だ。 勿論これが当たりかハズレかなんて、分かりはしない。]
えーと…… ほんとうに、そっちには行ってないんですね?
(216) 2016/10/02(Sun) 14時頃
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[想像してしまった内容が内容だけに、この女が父親をかばって行方を言わない場合も考えられる。 しかしもう、その場合は、そんな父親なんて知ったことではないと言えるし、いっそ社会的に抹消されてしまってくれ……とも言いたいところだが、やはり家に上がり込んでいる他人を自分の他人と証明してからでなければ困る。 てか素直に心配させろよ!!!と脳内でキレ散らかしているのも相まって、入間は何から話していいのかわからなくなった。]
家には絶対いなかったし、職場もだめっぽくて…… ていうか…もういいや
(217) 2016/10/02(Sun) 14時頃
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何度も疑ってごめんなさい……だけど、 アタシなにも事情わからないから。
もしそっちに居るとか、居る場所わかるとか、 そっちでなら連絡つきそうとか……もしもあるなら。 入間祐輔にこれ、絶対伝えて。
家にアタシのパパとママを名乗ってる頭おかしい人がいて 家に勝手に入って住んでてほんとにキモイから、 早く帰ってこいって。
(218) 2016/10/02(Sun) 14時頃
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別にゆうくんでもいいですよ。
[名前を苗字に言い直した電話先の女に、つい父への苛立ちに任せ、ぶっきらぼうに言った。八つ当たりをしてしまい、ややバツが悪くなって、「どっちでもいいけど」と付け加える。]
おうかがい……て、
………家に来たってことですか?
東中野の?いつ? ねえ、会えたって、うちの親に?
……それとも……偽物? [この電話先の女がいう「うちの者」がどんな人かはしらない。 ただ、入間が頭に思い描いているのは、悪戯だと決めつけ相手をしてくれない警察官や、今まで交流なんてなかったはずなのに、まるで今まであったかのように、知らぬまに形成されていた近所付き合い――]
(222) 2016/10/02(Sun) 15時頃
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……ねえ、そのひとたち
どっちの入間祐輔と会ったの?
(223) 2016/10/02(Sun) 15時頃
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[客観的にみれば――
現状、あの入間家にいる男女を、『入間祐輔や入間祥子ではない』と主張しているのは、入間澪音と東蓮寺琉衣しか、いないのである。]
(224) 2016/10/02(Sun) 15時頃
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普通に、事件のはずなんですけど…… 警察のひとも、相手にしてくれなくて……
[入間澪音の従兄である東蓮寺とは逸れたきり、連絡がつかなくなっている。
昨日の朝までの入間澪音を含めた周囲の人間の一部常識が『違ってしまっている』かのようだ。 いや。『違ってしまっている』のは『どちら』なのだろう。 はたまた、『どこ』なのだろうか?]
(227) 2016/10/02(Sun) 15時頃
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……知らない街みたい。
[ぽつっと入間はこぼしてから]
(228) 2016/10/02(Sun) 15時頃
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入間澪音です。 サンズイにゼロの、澪に、 音楽の音。それでみおん。
(229) 2016/10/02(Sun) 15時頃
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わっ……
[どっちの、と訊いた時の、電話先の相手の声は、想像もしていない大声だった。ぎくりとしてスマホから僅かに耳を遠ざける。]
……、……。
そんな風に……? なにが?どういう意味?
(235) 2016/10/02(Sun) 16時頃
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[八つ当たりを言った時ならばいざしらず、ここで大声を出されるとは思っていなかった。 入間はきゅっと唇を結んでから、ハッキリと敢えてもう一度繰り返した。]
……どっちの入間祐輔と会ったの?
アタシは、そう言わないと、わかりにくいから言ったつもり。 どう?気にくわない? どうしてそんな風に言わなくたっていいって思うの?
ねえ、なにか知ってる?
(236) 2016/10/02(Sun) 16時頃
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[口元に手をあて、考えるようにホテルの床へ視線を落とした。]
……夕方帰った時には絶対に「なりすまし」だったし、 パパからもママからも、ずっと連絡はないから…… じゃあその人たちは「なりすまし」の方と会ったかもね……
(237) 2016/10/02(Sun) 16時頃
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[周囲の認識が自分を置いてけぼりにしていくことで、入間は『知らない街ニキ』のことを思い出し、なんとなしに寒気がしてきて、そっと何度か腕をさすった。]
いちおう、……心配、ありがとう。 逃げるけど、もし「なりすまし」から何か聞かれても、 アタシのこと喋らないでおいてくれると嬉しいです。
(238) 2016/10/02(Sun) 16時頃
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[名前を褒めらると入間は呆れたようにふっと息を漏らし]
パパがつけたらしいけどね。 たまにホメられるし、気に入ってるからいいけど。
(239) 2016/10/02(Sun) 16時頃
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あなたの……にせもの?
[眉根が寄った。どういう意味だろうか? 話をきくうち、入間はぽかんと口をあけていた。 似ていない、とはいえない事件だ。]
……あなたのなりすましを見たの? 似たようなヘンな事件にあってるってこと!? [つい声が大きくなってしまう。]
(250) 2016/10/02(Sun) 17時頃
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[同じ被害者かもしれない。 他人事とは思いにくい内容だ。]
……えと……あなたは無事? 警察って、動いてくれてる?
[電話先の相手が無事なら、自分の両親だって無事かもしれない。 もし電話先の相手が警察に動いてもらえているなら、自分たちのことだってきちんと調べて貰えるに違いない。 そう思いたかった。 同じような被害者だったら、協力だってできるかも――だから]
(251) 2016/10/02(Sun) 17時頃
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――アタシもそう言おうと思ってた! 会お!なんでもいいから知りたいの。
えと……名前きいてもいい? アタシは今は渋谷。どこ行ったら会える? **
(253) 2016/10/02(Sun) 17時頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 17時頃
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― 午前:渋谷 ホテルの一室 ―
[入間は電話を切って、電話をしている出目の方を向く。 出目と目があうと、入間は頷いた。]
はい、もちろん。
(281) 2016/10/02(Sun) 21時頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 21時半頃
PPP イルマは、メモを貼った。
2016/10/02(Sun) 21時半頃
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[ノックの音。ドアを開けて、キルロイ先生と、一緒に一二三もいるなら彼も部屋へ招き入れる。 キルロイ先生は部屋に入ってすぐ入間に四つの質問をした。]
えと……一個づついきますね。
(286) 2016/10/02(Sun) 21時半頃
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[話す前に、息を整える。 やや強張った顔つきで入間は昨日のことを話した。]
二度目に家に戻った時―― えと、アタシ、キルロイ先生と最初に電話したあと、 るいく――従兄と連絡をとったんです。
従兄とサンマルクで会って、その後二人で東中野に。 家、東中野なんです。 従兄が「警察と一緒に行ってみよう」って言ってくれて。
東中野についたあと、交番にいきました。 交番のひとに着いてきて貰うことにしたんです。
交番のひと、やっぱり昨日の昼の、イタ電と思ってたみたい。 信じてもらえないかもって思ったから、 警察のひとは従兄に説得して貰いました。不法侵入だろって。
それで――家に帰ったら、まだ居て。
(287) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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家で――ごはん、作ってたみたいで。 普通に生活しようとしてるっぽくて。
[気持ち悪い――入間は胸元のリボンを掴んで俯いた。]
出たのは、女のほうでした…… 従兄に誰だあんたっていわれても、トボけてて…… それで……えと。気味わるいんですけど…… 従兄の下の名前も……知ってました。
警察のひとは、アタシたちがまた悪戯で言ってるのかもって、 疑ってるみたいでした。
(292) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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あと……その時。 近所のひとも廊下に出てきてました。
うち、近所づきあいなんて殆どなかったはずで。 だからアタシも知らない人です。 見た事あったかも……わかんない。ないかも……。
なりすましの女に、近所のひとが、挨拶……してて。 どうしたの?みたいなこと、言ってました。 なんか、前から付き合いあったみたいな……そんな感じ。 従兄はグルかもって。
そのあとそのオバサン、野次馬かなんだかわかんないけど ずっと廊下に出てました。 アタシが来てるって、なりすましのオバサンにバレた後 こっち見続けられてるのが―――もう、気持ち悪くて。
(293) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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身分証みるよう従兄が警察のひとにも頼んでくれました。 でも警察のひとは「もう確認したけど」とかいってて…… 「なりすまし」のほうも、 身分証出すの、べつに嫌がってはなかった……のかな…… ごめんなさい。アタシ怖くて逃げちゃったからわかんない。
(294) 2016/10/02(Sun) 22時頃
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従兄とは――まだ連絡とれてません。 ずっと電話かけてるけど繋がらなくて。 夕方二人でサンマルク出たあとも、 一回、西口で二人で道に迷っちゃって…… 見たことない通りに出たりしてたから、 方向音痴で、最初ははぐれたのかな?って。
どこいったんだろう――
[懐いているのだろう、入間は一度手のひらで顔を覆うようにすると、息を吐いから、ゆるゆると顔をあげた。]
たぶん――こんな時だし。 こっちに無事なら連絡しないようなひとじゃない。 だから、――だから、なんかあったのかも……
[寝不足の入間は、やや青い顔をして首をふった。]
(301) 2016/10/02(Sun) 22時半頃
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あぁ……そっか。次、アンケートのことでしたね。
[入間は次の質問に関してを喋り始めた。]
……電話で何言ったか、あんまり覚えてないや……。
[疲れた表情は自嘲気味だ。 既に言ったことでも許してほしいと言った。]
……アタシ、朝、親が喧嘩してたからイラついてたんです。 理由は、浮気かな? ……どうでもいいけど……どうでもいいのにね。
(303) 2016/10/02(Sun) 22時半頃
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家にいるとムカつくから。すぐ家でました。 歩いてたら、東中野駅の駅前で、 アンケートお願いできませんかって言われて。
八つ当たりのつもりだったんです。 ……勢いだったから、内容は、曖昧なんだけど……
「喧嘩しない親がいる未来がいい」みたいなこと書いて…… ……こんなつもりじゃ、なくて。
別にいなくなってほしいなんて、思ってないのに……。
[顔を俯かせる。ため息をつきながら、泣かないようにしなきゃ、と、思った。今日もこれから忙しく探し回るつもりなのに、化粧が朝から崩れてしまう。]
(304) 2016/10/02(Sun) 22時半頃
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書いたときは、夫婦喧嘩とか恥ずかしいことしてるって、 世間にバラしてやったみたいな感じがして…… ちょっと、……、スッとしたんです。
[入間は、アンケートに関してを答えながら、叱られているような、恥ずべき部分を抉り出されているような、言い訳をしたいような、逃げ出したいような心地になって、]
この話はべつに……なんでもないですよ、キルロイ先生。 アタシが……後悔してるってだけ。
コトダマ?とか言うじゃないですか。 べつに信じてないけど……こんな事になるくらいなら……
[最後の呟く声は、ひどく暗かった。]
……アタシは、喧嘩にうんざりしてただけ……
(305) 2016/10/02(Sun) 23時頃
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今日はこのあと――えと…… このカードにかけたら出てくれた人と会うつもり。
[そういって、入間はプラチナ色の会員証をキルロイ先生に渡した。]
雪野瀬さんて人。 ……まー……パパの浮気相手っぽいんだけど。
そのひとも、「にせものの自分」に困ってるんだって。 同じなりすましだったら、協力しあえるかもだし。 被害者同士一緒に警察へいったら、 もしかして、動いてくれたりするかもって思ったんです。
だから、話聞かせて貰いに行ってきます。
(306) 2016/10/02(Sun) 23時頃
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[そうして入間は、4つの質問に答えた。]
(307) 2016/10/02(Sun) 23時頃
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イルマは、ジリヤとの待ち合わせの時間を気にし始めた。
2016/10/02(Sun) 23時頃
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……なんで、そんな……。
[誰かが自分たちの情報に関して、事細かに、自分たちのしらないうちに調べ上げ、その積み上げた情報で入間澪音の両親としてふるまっている。父のお金が目当てなのだろうか?派手ないやがらせ?それとも他に何か目的があるのだろうか?]
そう――そうなんですよね。
[キルロイ先生の言葉に頷いた。]
アタシは……乱暴とかは全然、されて、なくて。 ていうか最初から、意味不明だったんですよ。 泥棒とかなら、なんで、親のフリなんてするの? だからアタシ、頭おかしいと思って――
[まるで当然の事実であるかのように、自分を娘と扱う。]
アタシが親じゃないだなんて、見てわかるはず、なのに。
[そしてかけられる言葉は――「どうしちゃったの」というもの。 知らない街、という単語が脳裏に浮かんで、うすら寒い。]
(313) 2016/10/02(Sun) 23時半頃
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[キルロイ先生が続けて気になるところに質問をするなり、話を聞いて彼なりの見解を聞かせてくれるのなら、入間はそれを聞いていくつもりだった。だから話を最後まできいてから、渋谷のホテルを出た。]
(315) 2016/10/02(Sun) 23時半頃
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― 午後 渋谷→新宿 ―
[入間はジリヤに電話で言われた通りの待ち合わせ場所に向かった。渋谷駅から山手線に乗り新宿へ。 とりあえず新宿駅で待ち合わせて、その後はジリヤがとってくれたホテルへ向かう……という手筈なのだろう。
入間は、朝かけたプラチナカードに書かれていた電話番号へ、再度電話をかけた。]
(320) 2016/10/02(Sun) 23時半頃
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イルマは、リーに、お礼のLINEを送った。 『ありがと😢✨ 疲れた顔してたからさ、今日はゴメン😣💦』
2016/10/03(Mon) 00時頃
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[コール音をききながら、少し待つ。 午前中かけた電話の女が出た。>>335]
……雪野瀬さん?
[と、名前を呼びながら、どこかで聞いたような名前だよなあ、と、寝不足と疲れでぼんやりした頭で思う。]
入間です。 アタシも駅には着きました。 どのへんで待ってたらいいですか? まだ改札です。
(339) 2016/10/03(Mon) 00時頃
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